リアルドラゴン桜プロジェクト

自由ヶ丘学園高校

Vol03
2021.8.21
結果ではなく、大切なのはその過程
挑戦する生徒を育てたい

残暑厳しい8月下旬に、自由ヶ丘学園高等学校(以下、自由ヶ丘学園高校)のオープンスクールが開催されました。自由ヶ丘学園高校は絶え間なく学校改革を続けているため、今年のオープンスクールでも新たな発表がありました。新型コロナの感染防止対策で十分な換気と座席間隔をとり、オンライン放映も同時におこなわれたオープンスクールの様子をお届けします。また、オープンスクールの終了後、田中道久校長先生のインタビューもおこないました。田中校長先生は生徒に対し、どのような想いがあるのでしょう?あわせてご紹介します。

社会の変化を見据えた
新しい教育を推進中

オープンスクールは、田中校長先生の挨拶ではじまりました。

「本校は昭和5年に創立され、今年で93年目を迎えます。“人に親しまれ信頼される人間になれ”という校訓のもとで、人間教育に力を入れてきた歴史ある学校です。しかし、時代は大きく変わりつつあります。それとともに、社会に求められる人材も変化してきました。多様性を理解し、協働しながら、“新しい価値を創造する”人材が必要とされるようになったのです」。

「ですので、自由ヶ丘学園高校の教育も、変わらなければなりません。私たちは、新しい時代に世界で生き抜くためには、どのような教育が必要になるのかを徹底的に考えました。そして、学校改革が必要であるという結論に至ったのです。数年前から着手し、現在はすべての授業で改革を進めています。今までは知識や技能を中心に教えてきましたが、これからはその知識や技能を活かす力や、考える力が問われます。ですから本校の教育も、ティーチングからコーチングに変わっています」。

田中校長先生が熱く想いを語る中、参加者はみな熱心に聞き入り、メモをとっていました。

生徒の夢を実現する
7つのコース

この日のオープンスクールでは、数多くの学校改革や新しい学びに関する情報が提供されました。その一部をご紹介しましょう。

まずは、生徒や保護者にとって最大の関心事である“教育の特色”についてです。最大のポイントは、7つものコースが用意されることです。なぜ、これほど多くのコースが設定されるのでしょう?その理由を、田中校長先生は次のように語りました。

「生徒が自発的に挑戦しようと思った時に大切なのは、モチベーションだと私たちは考えています。生徒が興味を持った時に、深く学ぶことができる環境を用意したかったのです。ある生徒は、パリオリンピックに出るという夢があるため、フランス語を選択しました。またある生徒は、将来なりたい職業が見つかり、その職業に役立つコースを選択しました。このように、生徒が夢を見つけ、実現するために7つものコースを用意しているのです」。

会場で説明された7つのコースの中から、2つのコースをご紹介します。

■プログレスコース
あらゆる分野に精通する学びにふれ、高い学力と国際教養を身につける
想定進路:国公立大学・難関私大(早稲田・慶應義塾など)
体験や経験の機会が豊富なことも特徴のひとつ。
例:リアルドラゴン桜プロジェクト
※自分で壁を作らず、挑戦してほしいという学校の想いが、このプロジェクトと合致したために実施。生徒たちは、東大生から多くの刺激や気付きを得ている

■ILA国際教養コース
2022年に新設
国際的な言語能力と知識を育み、豊かな教養を身につける
想定進路:ICU、国際教養大、国際系学部学科など
国際社会プログラムでは国際的な諸問題の解決策を考え、国際教養プログラムでは国際的な視点を身につける
※英語のほかに中国語・フランス語・ドイツ語を履修可能で、外国語演習・異文化コミュニケーションも学ぶことができる

いずれも、国際的な視点や教養を身につけることを目指していることがわかります。生徒が仲間と協働・共創しながら興味関心を深め、自身の才能や可能性を引き出せるようなプログラムだと感じました。

※各コースの詳細はこちら

特色ある授業
STEAM教育

各コースの説明に続き、特色ある授業が紹介されました。その中でも特徴的な、“STEAM教育”についてご紹介しましょう。STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの領域を重視する教育方針です。問題解決力や新しいものを生み出す力を育成することを目的としています。オープンスクールでは、教育戦略室長の今井先生が概要を説明しました。

今井先生は、次のように語りはじめました。

「世界中の人が、不確実だと思う事はたくさんあります。現在では、新型コロナウイルスの影響が挙げられるでしょう。2030年には、30%の仕事がAIなどによる自動化でなくなると言われています。このような状況で、みなさんはわくわくしますか?あるいは不安でしょうか?」。

参加者に挙手で考えを求めると、答えはわかれました。今井先生はこう続けます。

「ありがとうございます。このように、同じ状況でも人によって受け取り方は違います。本校のSTEAM教育では、生徒がどのような状況に置かれても、わくわくできるような授業をおこなっています。クラス全員で、困難を乗り越える練習をしているのです」。

現在、世界では新しい技術が次々と生まれ、国際的な協業も当たり前になっています。そこで求められるのが、現状を正しく把握するための基礎的な知識や、提案力、そして仲間と協力しながら進む力です。自由ヶ丘学園高校のSTEAM授業では、課題設定や、事実に基づいた議論の進め方、ITを使った解決方法の提示を仲間と行うなど、新しい価値を創出する方法を学べます。企業や大学と連携したプロジェクトも数多くおこない、英語でのディスカッションやプレゼンテーションもおこなうとのことでした。まさに、これからの時代を生き抜くために必要な力が身につく授業だと感じました。

オープンスクールでは、この他にも数多くの最新情報が公開されました。中でも、今後の予定として公開された2023年からの男女共学化や、実施済みのICT改革がトピックスとして挙げられるでしょう。男女共学化は今後ますます重要視される多様性の時代に備えたもので、ICT改革では全生徒がクロームブックを持ち、電子黒板も完備しているのでオンライン授業や分散登校を実施済みだそうです。

校長先生の「未来に対応した改革は続けますが、一方でコロナ禍でも現在の学びを止めることはありません」という言葉に、多くの参加者が頷いていました。

※詳細は、自由ヶ丘学園高校のホームページで確認することができます。

校長先生インタビュー

オープンスクールの終了後、田中校長先生に取材しました。田中校長先生は、生徒たちに対して、どのような想いを持っているのでしょうか? また、どのような考えで学校改革を推進しているのでしょう?

Q:7つもの多様なコースを用意した理由を、もう少し詳しく教えて下さい
A:私が生徒に一番望んでいるのは、“挑戦してほしい”ということです。今の日本の教育では、勉強はやらなければならないもので、生徒が自らやりたいというものではないと感じています。しかし、興味を持ったものに対して熱中するのは、今も昔も変わりません。一番わかりやすいのがスポーツで、私も学生時代にはレスリングに夢中でした。このように、生徒たちが高校3年間で、熱中できる環境を用意したいのです。

生徒によって熱中したいと思う内容は違います。そんな彼らが少しでも興味があることを学び、経験できる機会を作るために何ができるだろうかと考えた結果、さまざまな選択肢に対応できる7つのコースを用意することになりました。

Q:企業や大学とコラボレーションする授業が、とても多いと感じました。なぜでしょうか?
A:高校生の時の体験や経験は、とても大切だと思っています。たとえばリアルドラゴン桜プロジェクトでは、やればできるという体験談を東大生から直接聞くことができます。固定概念で東大は難しいと思うのではなく、話を聞くことで感じることがあるのではないでしょうか。企業や大学の方と一緒に学ぶ授業も、同じです。現在、世界で活躍している方たちが何を考えているのかを、同じテーマで一緒に考えることによって、知ることができるのです。

Q:そのような学校変革のアイデアは、校長先生が発案することが多いのですか?
A:いいえ、違います。たとえば、生徒からも「もっとこんな事をやりたい」という意見がたくさん出されます。そうした声を反映し、たとえば世界各国とオンラインでつないだ授業を数多くやるようになりました。また、先生からも「こんな事ができないか?」というアイデアをたくさんもらいます。先生方が、常に学校改革を考えているのです。これはとても嬉しいことですね。こうした意見を聞き、最終的に私が判断をしているのです。私一人では、何もできないと思っています。

田中校長先生は、穏やかな表情で最後にこう語りました。「不確実な今の世の中で大切なのは、成功するかどうかはわからないが、挑戦する姿勢だと思います。結果ではなく、その過程で学ぶことに意味があるのです。私は挑戦する子供を増やし、育てていきたいと思っています」。

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