リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol 03
2019.5.11
成績をあげる秘訣。それは「なぜ?」を問い続けること

5月上旬、いよいよリアルドラゴン桜プロジェクトの初回授業が行われました。この日集まったのは特別進学(S)クラスの1・2年生57名。高校の大教室が行事で使用されているため、今回は隣接する日本大学文理学部教室での開催となりました。前回の講演会でたくさんの刺激をうけた生徒たちは、期待に胸を膨らませて静かに席についています。今回のテーマは「『なぜ?』を問う」。どのような内容になるのでしょうか? その様子をリポートしていきましょう。

勉強が効率的になり
頭が良くなるテクニックとは?

授業が始まる前、西岡コーチに今回のテーマ「『なぜ?』を問う」について意図を聞きました。初回の講演でも「なぜ勉強をするのか」について多くの時間を割いていたので、「なぜ」にこだわる理由を確認しておきたかったためです。

西岡コーチはこう答えてくれました。「参加するのは優秀な特別進学(S)クラスの生徒たちです。受験に役立つ勉強のテクニックやコツを、早く知りたいと思っているはずです。しかし細かなテクニックを学ぶよりも、もっと重要な事があります。それが今日お話させていただく、『なぜ?』を問う・・・なのです。この考え方を身につければ、どの科目でも、現在どんな成績であっても成績は上がります。テクニックを学びたい生徒たちにとっては、もどかしい内容かもしれません。が、今日はもっとも重要で根本的な話をしたいと思っています」。

初回授業のねらいは具体的な勉強方法を学ぶことではなく、成績を上げるために最も重要な考え方を身につけることにあるようです。こうして初回授業が始まりました。

西岡コーチは生徒たちに語りかけます。「前回の講演で、なぜ勉強をするのかという話をしました。日常生活でも勉強でも『なぜ?』と考える思考が大切だと言いました。でも、急に言われても難しいですよね?『なぜ?』を考えることは、最初はとても難しいのです。でも、そこで考えることをやめてしまったらどうなるでしょう? 『なぜ?』を考えない丸暗記や、『なぜ?』を考えずに日々を過ごすことは、本当にもったいない。『なぜ?』を考えることこそが『本質的な理解』につながり、それが勉強の効率を上げる最大の方法なのです。『なぜ?』を考えない丸暗記では、すぐに忘れてしまいます。成績を上げたいのであれば、『なぜ?』と考えることから逃げてはだめ。だから今日は、一日中『なぜ?』と言い続けます。そして『なぜ?』を考える体験をしてもらい、実感してもらいたいと思っています。

さまざまな意味があって丸暗記は厳しいものこそ
『なぜ?』を考えれば忘れない

「ここで例をあげましょう。英単語のTERMの主な意味は次の4つです。期間・用語・関係・同意。意味がバラバラで、丸暗記だとまちがいなくどれかを忘れそうですよね。こういうケースは英語以外でもよくあります。でも『なぜ?』一つの単語に、ここまでバラバラに思える意味があるのかと考えてみましょう。実はTERMの原義は『範囲の限定』です。『なぜ?』と考えて原義がわかれば、『時間を限定する』から『期間』、『意味を限定する』から『用語』、『人との間柄を限定する』から『関係』・・・とつながります。こうして意味を理解して覚えれば、忘れにくくなると思いませんか? 万が一忘れても、『範囲の限定』を覚えていれば、前後の文脈で何とかなります。丸暗記だと、忘れたらそれで終わりです。どちらが勉強に効果的か、一目瞭然です。しかもこうした覚え方をすると、関連した単語も簡単に覚えられます。たとえばTERMINALの意味はバスや鉄道の終着駅です。空港の第一ターミナルとかバスターミナルは『範囲の限定』そのもの。もう、簡単に覚えられますよね。これ以外にもTERMが含まれる単語はたくさんあります。それらのほとんどは、本質的な意味を理解していれば文脈の中で推測することが出来るのです」。

西岡コーチの説明はわかりやすく、生徒たちからも「おおー!」「確かに覚えやすい!」といった声があがりました。最後に西岡コーチはこう締めくくりました。「この考え方が大切なのはわかってもらえたかと思います。でもいちばん大切なのは、実行すること。東大生も同じ考え方をしていることの例をあげましょう。このノートを見てください。僕は数百人の東大生を対象に、ノートのとり方を調査したことがあります。これは東大の医学部の学生が書いたノートです。膨大な医学知識を覚える際に、彼らはこのように『なぜ?』と考えて関連する用語を線で結んで書いています。点でバラバラに理解するよりも、面やネットワークで理解すると記憶が定着しやすいのです。ノートの書き方は訓練する必要がありますが、考え方は同じなのです」。

『なぜ?』を問うことに、
生徒たちは何を感じたか?

西岡コーチは続けます。「ここまで基本的な考え方を、さまざまな例をあげて説明してきました。だから『なぜ?』を問うのが受験勉強ではもっとも大切な考え方だということは、理解できたかと思います。でも、それを実行できなければ意味がありません。なので、いくつかの例題を出します。この考え方を実践してみましょう」

ここからは実践問題です。生徒たちは「どうして1853年にペリーが来航したのか?」「答えを知らなくてもグラフから読み解く方法」など、さまざまな例題に対して『なぜ?』を考え続けました。これには5つのステップがあります。その中のひとつである「背景を知る」のパートでは、ICTを活用した教育に力を入れている学校から、一人一台配布されたタブレットや各自のスマホで情報を収集していきます。最初は少し苦労していた生徒たちですが、後半は活発に意見を出しあうようになりました。

こうして『なぜ?』を問う授業は終わりました。生徒たちはどのように感じたのでしょうか?
「ここまで深く『なぜ?』と考えたことはなかったので、今までとてももったいないことをしてきたなと感じました」
「丸暗記でバラバラの事を覚えるのが辛かったけど、『なぜ?』と考えれば楽に覚えられる。これがきょう一番の収穫です」。
「今まで恥ずかしくて、『なぜ?』って人に聞くことができませんでした。でも大切なことなので、これからは自分を変えていきたいです」
「東大生がなぜあんなに成績が良いのか、わかった気がします。まずは真似するところから始めてみます」
「早く効果的な勉強方法を知りたくて、授業の最初の方は不満でした。でも、本当に大切なことを教えてもらって今は感謝しています」

西岡コーチの予測は当たりました。当初は成績が上がる勉強法やテクニックを教えてもらうことを期待していた生徒たち。しかし、もっとも大切な考え方を知ることができ、充実した時間を過ごせたようです。これからどのように成長していくのかが楽しみです。