リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol 06
2019.8.26・27
『自学自習』の意義を、
東大生が語る

8月下旬に行われた日大櫻丘高校の夏休み特訓。生徒たちは2日間、何をどれだけ勉強するかを各自が決めてやり抜きました。この夏休み特訓のテーマは『自学自習』。誰かに言われてやる勉強ではなく、自分で考え自主的に学ぶ姿勢を身につけようというものです。なぜ、このテーマが設けられたのでしょうか? そしてこの特訓に参加した東大生は『自学自習』についてどう感じているのでしょうか? 自身の体験を交え、語ってもらいました。

夏休み特訓のテーマを
『自学自習』とした理由

まずは西岡コーチに、夏休み特訓のテーマを『自学自習』とした理由を聞きました。
「今回のテーマを『自学自習』としたきっかけは、漫画『ドラゴン桜2』の編集会議でした。私はこの漫画の制作にも関わっているのですが、その編集会議で、夏休み特訓のスケジュールをどうするかを話しあったのです。実は前編の『ドラゴン桜』でも夏休み特訓のシーンがありました。そこでは朝から晩まで、ビッシリとスケジュールを組んでいたのです。しかし前編から10年以上の時が経ち、受験生を取り巻く状況は大きく変わりました。今ではスマホやタブレットが普及して映像で授業を視聴し、わからないことをその場で調べられます。アクティブラーニングも推奨されるようになりました。そのような環境で、昔と同じようにあれこれ一方的に詰め込むような勉強方法で良いのかと、疑問を持ったのです」。

「徹底的に夏休み特訓のスケジュールを考え編集会議で議論したのですが、どれもピンとこない。結局、無理やり勉強を生徒にやらせても意味がないし、身につかない・・・という結論になりました。そして実際に『ドラゴン桜2』の漫画では、勉強内容も時間もすべて自分で考えるというストーリーになったのです。受験勉強は長期間にわたり、継続した努力が必要です。仮に合宿で詰め込みの勉強をやり、その範囲はよく理解できたとします。しかし、それはたった2日間の話です。合宿から家に帰り、同じように1年間、あるいは2年間、勉強ができなければ意味がありません。だからこそ、自分で考えて自分で学ぶ習慣が身についていなければならないのです。今回の夏休み特訓は、こうした考えに基づいて計画されました」。

夏休み特訓は2日間の単なる学力向上を目指す場ではなく、受験までの長距離を走り切るためにもっとも大切な、勉強への取り組み姿勢を身につける場として考えられていました。

西岡コーチの意見
僕が『自学自習』の見本です

夏休み特訓のテーマが『自学自習』となった理由は理解できました。では、西岡コーチ自身はどうだったのでしょう? 「お恥ずかしながら、成績が悪かった頃の僕はまったく逆でした。出された宿題を漫然とやるような生徒です。当然、このようなやり方ではどれだけ勉強時間を長くしても成績は上がりませんでした。しかし、東大の受験に失敗して勉強方法を一気に変えてから、成績は上がってきたのです。そこで経験した勉強法を、いま『リアルドラゴン桜プロジェクト』で生徒のみなさんにお伝えしています。『なぜを問う』『主体性を持つ』などはいつも僕が授業で言っていることですが、これらは『自学自習』と同じ趣旨です。徹底的に自分で考えて学ぶと記憶の定着量が違いますし、理解の深さも深くなります。これが非常に効果的なのです。僕が見本なので、ぜひ信じて実践してほしいですね」。

西岡コーチは、自分の体験をもとに『自学自習』の有効性を語ってくれました。

正司さんの意見
『自学自習』がほぼすべて

次に法学部4年生の正司さんの考えを聞きました。正司さんは中学・高校で陸上部の活動に打ち込み、それまではほとんど勉強していなかったそうです。
「僕が東大に合格できたのは、『自学自習』がほぼすべてだと思っています。アクティブラーニングが推奨されてきましたが、僕が東大を目指して受験勉強をしていた時の方法と変わりません。『自学自習』がもっとも重要で、変わらないものだと信じています。その理由は、目的が入試の場合、受験当日は自分ひとりで問題を解くからです。人から言われて受動的に学んでいるだけだと、問題につまずいた場合に悩むこともあります。日常的に『自学自習』をしていれば、いつもの勉強と変わりません。わからなければ、『だったらこうしてみよう』、『別の考え方で解いてみよう』と自分で考えることができるのです。僕は高3で部活をやめて受験勉強をはじめた時から『自学自習』をしました。受験まで期間が短かったので、焦りから『どうすれば最も効率よく勉強できるか』を考えた結果、自然とそうなっていたのです。実際に、知識の身につき方はまったく違いますし、自分で工夫する癖がつくので受験の当日にも活かせました。東大に入ってから感じたのは、東大生は全員『自学自習』の姿勢が身についていることです。これは間違いありません。また、大学に入ってからも『自学自習』はとても役に立ちます。大学では、学びたいことを自分で見つけて学ぶのですから。ですからみなさんもぜひ『自学自習』の癖をつけてほしいと思います」。

安部さんの意見
間違いなく素晴らしい考え方

最後に文3、1年生の安部さんに考えを聞きました。安部さんは東大模試で全国1位を取ったこともあるほど、特に成績が優秀だったそうです。
「『自学自習』の考え方は間違いなく素晴らしいと思っています。僕は小・中学生の間、まったく勉強をしていませんでした。勉強をし始めたのは、高校受験の時からです。香川県に住んでいたのですが、どうせ高校に行くのであれば地元の公立トップ校に行きたいと思ったからです。いま振り返ると、その頃から『自学自習』を始めたのだと思います。高校に合格したら、次は大学受験です。公立のトップ校とはいえ田舎の学校ですので、僕は『大都市にある中高一貫の有名進学校には、凄い人ばかりが集まっている』と、勝手に妄想していました。そこで高校1年生の時から、妄想した優秀なライバルと競い合うつもりで『自学自習』をしたのです。もちろん東大に入った今では、かなり変わった考え方だったと認識しています(笑)。ただ、『自学自習』は自分の考え方次第だと言いたいのです。実は高2の時、『自学自習』のおかげでかなり成績が良かったものの、モチベーションが落ちた時期がありました。そこで、当時は関西の難関国立大学を目指していたのですが、目標を東大に変えて改めてやる気を出しました。このように、『自分で考えて行動する』ことは非常に有効だと思っています」。

夏休み特訓に参加した東大生は、全員が口を揃えて『自学自習』は間違いなく大切で有効だと語ってくれました。2日間『自学自習』を実践した生徒たちも、その重要性を体感したのではないでしょうか。