リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol 13
2020.1.11
生徒はもちろん、先生にも刺激となった1年間

昨年4月にスタートした、日大櫻丘高校のリアルドラゴン桜プロジェクト。1年間にわたって活動内容をレポートしてきましたが、いよいよ最終回となりました。この一年間の活動を通じ、生徒や学校にはどのような変化が起きたのでしょう。プロジェクトに関わった先生に、この一年を振り返っていただきました。当日おこなわれた、1・2年生を対象とした授業の様子とともにご紹介します。

ノートをとる意義とは?

この日おこなわれた授業の一部を、さっそくお伝えしましょう。

西岡コーチはこう語り始めました。「みなさんはノートをどのようにとっていますか?先生が黒板に書いた内容を丸写しするか、自己流で記入するのかを教えて下さい」。多くの生徒は丸写しすると答えました。西岡コーチは続けます。「丸写しの人が大半ですが、間違っているわけではありません。先生がポイントを整理して黒板に書いてくれるわけですから。しかし、さらに良い方法があります。これはどの科目でも使える方法で、成績を上げるためにとても有効です。今日はノートのとり方をお伝えします」。

「勉強をする時に、とても役に立つ考え方があります。『守破離』です。武道や茶道など、さまざまな修行をする際のプロセスを示したもので、聞いたことがある人もいるかと思います。これを勉強にも応用するのです。『守』では、先生に言われた通りにとにかくやる。自分の個性はここでは出しません。『破』では、『守』を実践する中で、自分流のアレンジを加えます。自分が覚えやすいようにとか、理解しやすいように変えていきます。『離』で、自分だけの、オリジナルの勉強方法を構築するのです。東大生の多くは、この『離』にあたる自分だけの勉強法を確立しています。自分にあった、効率がもっとも良い勉強法を見つけ出しているのです」。

「ノートのとり方も同じです。ノートをとる意義は、構造化するということです。構造化することで理解が深まり、記憶も確かなものになります。黒板や教科書は、タイトルがあり、次に見出しがあります。構造化されているので、それを丸写しすることでも問題はありません。実際に、丸写しするだけで東大に合格する人もいます。しかし、もっと効率よく、自分にあったやり方を見つけられれば楽ですよね。だから自分なりのやり方を見つけてほしいのです」。西岡コーチはこう語ると、実際に東大生が高校生の時にとっていたノートを例に解説をしていきました。

「じゃがいもと豚肉と玉ねぎとキャベツとトマトを何個ずつ買って来てほしいと頼まれた場合、一度には覚えられないですよね。しかし、カレーとサラダを作るからと言われると、理解しやすいですよね。これと同じです。英単語をバラバラと書いても覚えにくい。そんな時には、単語の中に含まれる接頭語の意味で整理すると覚えやすくなる。どちらも構造化するから覚えやすくなるのです。社会でも使えます。時代や地域で整理すれば、わかりやすくなります。このように、自分が覚えやすいやり方でノートをとれるようになれば、この先の勉強の効率が飛躍的にあがります」。

生徒たちからも、「この方が覚えやすい!」という声が湧き上がります。このあとも、より実践的なノートのとり方などが紹介され、西岡コーチの授業は続きました。

生徒に最大の変化が生まれたのは、夏休み特訓でした

1年間にわたるリアルドラゴン桜プロジェクトの活動を通じ、生徒にはどのような変化が起きたのでしょう? プロジェクトに参加する特別進学クラス(S)1年生の担任、武内先生に感想を聞きました。

---この1年間で、どのような変化が生徒に起きたのでしょう?
武内先生:このプロジェクトがスタートしたのは、1年生が入学したばかりの時期でした。最初は学校生活に慣れるのに精一杯でおとなしかった生徒たちが、今では積極的に行動するようになってきたと感じています。

---具体的な例を教えて下さい
武内先生:特に「自学自習」の姿勢や、お互いに教えあう「アウトプット」の姿が身についてきたと感じています。リアルドラゴン桜授業の翌週に、教わった内容を自分たちで実践している様子をよく見かけます。上手に出来なくても明るくチャレンジしている姿を見ると、頼もしく感じますね。

---変化が起きはじめたのはいつ頃からでしょうか?
武内先生:大きく変化したきっかけは、夏休み特訓です。これをきっかけに、自主性や主体性が飛躍的に伸びました。数学の授業で教えあうようになったり、毎日の授業の要約をする生徒が現れたりするようになりました。

---なぜそのような変化が起きたのでしょうか?
武内先生:理由は2つあると思います。1つめは、2日間にわたり多くの東大生と話す機会が持てたこと。2つめは、自学自習を実際に経験できたことだと思います。学校の中ではほぼ出会うことがない、東大生の生の声を聞くことが出来たのが本当に貴重だったようです。受験のテクニックや勉強法を目にすることはあっても、その究極の結果を出した東大生が実践した話だと伝わり方が違います。また、自学自習が大切だと言われても、なかなか実践は難しい。しかし、東大生が「最初は難しいけど、自分はこのように勉強をして成績が上がったよ」と具体的にアドバイスをしてくれると、頑張ってやってみようと思えるのでしょう。

---この1年間を振り返り、感想を聞かせて下さい
武内先生:繰り返しになりますが、本当に貴重な経験をすることができて感謝しています。生徒たちには、まさに本日の授業で教わった「守破離」を実際にやってほしいと思っています。今後もリアルドラゴン桜授業で学んだ方法を実践してほしいですし、自分のものとして身につけてくれることを期待しています。

学校の施策と連動することができたプロジェクト

最後に、リアルドラゴン桜プロジェクトを推進してきた教務部主任の澤田先生に話をききました。このプロジェクトは学校全体にとって、どのような影響があったのでしょう?

---この1年間を振り返った感想を聞かせて下さい
澤田先生:試行錯誤を繰り返しながら走り続けた1年間ですが、とても大きな影響があったと感じています。生徒が変わったのはもちろんですが、実は先生への刺激が想定以上に大きかったと感じています。

---具体的に教えていただけますか?
澤田先生:本校の生徒は、とても真面目で素直なのが特徴です。これは長所で誇れることなのですが、同時にもっと積極的に、みずから動ける人間になってほしいという願いがありました。リアルドラゴン桜授業を通じて生徒に変化が見られるようになったのは、武内先生の感想のとおりです。一方で、このプロジェクトに関わる先生にも変化が起きました。先生は基礎学力の定着を目指して、日々の授業を行っています。しかしどうしてもインプットがメインになりがちでした。しかしリアルドラゴン桜授業の中でアウトプットが重要だという話があり、それが先生にとっても大きなヒントとなったのです。アウトプットの重要性を体感した先生は、実際に授業で取り入れたり他の先生と取り入れ方を話し合ったりしています。

---他の先生にも波及していったということですね
澤田先生:その通りです。教室の大きさという物理的な制約ですべての先生に授業を見てもらうことは出来ませんでしたが、本当はすべての先生に参加してもらいたかった。それほどの影響力がありました。

---櫻イノベーションなど学校の施策との連携についてはどうだったのでしょうか
澤田先生:日大櫻丘高校では、大きく変化する社会で生き抜く力をつけるために『櫻イノベーション』というスローガンのもとで変革を行っています。4本の柱で構成されているなかのひとつに『アクティブラーニング×ICT教育』があるのですが、この施策とリアルドラゴン桜プロジェクトはぴったりとマッチしたと思います。アウトプットの重要性やアプリの活用を授業で教えていただきましたが、まさに私達が推進していることと同じ方向性だったのです。おかげさまで、授業公開の参加者アンケートでも非常に高い評価を受けることができました。繰り返しになりますが、今年のリアルドラゴン桜授業は一部のクラスを対象としました。しかし、すべての生徒と先生に参加してもらいたかったほど大きな意義があったと感じています。

1年間のリアルドラゴン桜プロジェクトは、学校の施策とも連動して生徒だけでなく先生にも大きな変化を生み出しました。今後も生徒と先生は、自分たちで考え続け、変化をし続けていくことでしょう。