リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol01
2020.6.22
勉強をすればするほど、世の中がわかり楽しくなる

今年で2年目となる2020年度のリアルドラゴン桜授業が、6月22日にいよいよ始まりました。参加するのは日本大学難関学部(医・獣医)・国公立大学・難関私立大学への進学をめざす、特別進学(S)クラスの生徒たち。特別進学(S)クラスは今年から2クラスに増え、1年生2クラスの合計60名が参加することになりました。新型コロナウイルスの影響で、オンラインでの開催となった初回授業。生徒たちは、自宅からの参加です。はたしてどのような授業になるのでしょう?これからの一年間、生徒たちがどのように変化し、成長していくのかをレポートしていきます。

勉強は楽しいものだと
気がついてほしい

分散登校が続き、まだ一度もクラス全員が顔をあわせていないタイミングでの開催となった初回授業。授業開始前のパソコン画面には、とても緊張した生徒の顔が並んでいます。そんな生徒たちに、講師の西岡壱成コーチは明るく語りかけました。

「みなさん、緊張しているようですね。僕も、とても緊張しています。すこしリラックスするために、チャットを使ってみましょう。学校に行けない間にやっていたことや、趣味を教えて下さい!」。生徒たちはすぐに、チャットの書き込みをはじめました。

「ありがとうございます! いいですね。この授業では、質問や発言を大歓迎しています。オンライン授業の場合は、チャットにどんどん書き込んでください。ちなみに僕の趣味はアニメやゲームです。チャットにも何人かがアニメと書いてくれましたが、僕も詳しいですよ(笑)」。西岡コーチは質問や発言を歓迎する事を伝えると、アニメの知識を披露しはじめました。あまりにも詳しいので、話を聞いていた生徒たちの顔はほころび、笑顔が広がっていきました。慣れない全員でのオンライン授業ではあるものの、生徒たちの緊張はすこしほぐれたようです。

授業の開始時刻がくると、西岡コーチはこう語りかけました。「さっそくですが、みなさんは勉強が好きですか?好きか嫌いかを、チャットで答えてください」。多くの生徒が『嫌い』と答えました。西岡コーチはこう続けます。「『嫌い』が多いですね。とてもよくわかります。勉強しろといつも言われるけど、勉強したら何が良くなるのかがよくわからないですよね。東大生も、みなさんと同じです。100人の東大生に同じ質問をしたら、高1の時は勉強が嫌いだったと7割の人が答えました」。

「ところが東大に入った今はどうかと聞くと、勉強が好きだと7割の人が答えました。実は勉強が面白くて楽しいものだということを、受験勉強や大学の勉強を通じて知ったのです。しかし、みなさんや高1の時の東大生は、まだその面白さに気がついていない。これは、非常にもったいないことだと思います」。

「だからこのリアルドラゴン桜プロジェクトでは、勉強が面白いものだとみなさんに実感してもらうことから始めたいと思います。勉強が面白くなり、その結果として成績も上がる。そして東大にも入れるようになる。東大でなくても、『行ける大学』ではなくて『行きたい大学』に行く。そのお手伝いをして、みなさんの未来を広げるのがこのプロジェクトです。いやいや勉強するのではなく、楽しく勉強して成績も上がるのであれは、最高だと思いませんか?」。

西岡コーチは、勉強が楽しいものだと強調しました。しかし生徒は、戸惑っています。楽しく勉強して東大にも入れるといきなり言われても、すぐに信じられないのは当然でしょう。

僕自身が『リアルドラゴン桜』なのです

生徒たちの戸惑った様子を見て、西岡コーチはこう語り始めました。「いきなり東大に入れると僕に言われても、信じられないですよね。ですので、まずは自己紹介をさせてください。僕は東大4年生の西岡壱成と申します。このプロジェクト名にもなっている『ドラゴン桜』という漫画は、とても成績が悪い生徒が東大合格を目指すというストーリーです。僕は、リアルドラゴン桜なのです」。

「どういうことか、すぐにわかると思うのでこの紙を見てください」。そう言うと、西岡コーチは一枚の成績表を画面に映しだしました。「これは2年生の最後に受けた、模試の成績表です。英語が3点で、全体の偏差値は35です。英語が3点だと、偏差値が26.9になるのですね。この3点も、どこで取れたのかわかりません。選択肢の記号が、たまたま合っていたみたいです。ひどいでしょう? こんな僕が、なぜ東大を目指して合格できたのかを、これからお話したいと思います」。

あまりにも極端な成績表を見てあ然としている生徒たちに、西岡コーチは続けます。「僕は、すべてが中途半端な高校生でした。部活も中途半端だし、勉強も中途半端。そんな時、ある先生に『西岡はこのままでいいのか?』と言われました。僕が『いいんじゃないですか?僕はこういう人間ですから』と答えると、めちゃくちゃ叱られたのです。先生は『人間は誰でも1本の線で囲まれている』と言いました」。

西岡コーチによると、先生はこう話してくれたそうです。「人間は誰でも1本の線で囲まれていて、その線を『なれま線』という。小学生の頃は、なりたい将来の夢が無限にある。しかし歳を取ると、たとえばサッカー選手になるという夢をあきらめるようになる。それが『なれま線』で、年を重ねると共に、どんどん自分に近づいてくる。でも、その線は幻想に過ぎない。本当は、人間はどこまでも頑張れる。しかし、自分で限界を決めて諦めているだけだ。だから諦めるな。何でも良いから、本気で打ち込めることを探しなさい」。

そして先生は、「何をやればよいかわからなければ、東大を目指しなさい」と言ったそうです。その理由は、「サッカーなどのスポーツでトップを目指すには、体格や才能も必要だ。しかし勉強は、正しく努力した分だけ結果が出る。だから勉強は誰にでも平等で、その最高峰は東大だからだ」ということでした。

西岡コーチは自己紹介を、次のように語って締めくくりました。「僕はこうして東大を目指し、東大生になることができました。二浪してしまいましたけど(笑)。僕自身が、『誰でも東大に行くことができる』ことを証明したのです。だからみなさんも、やりたいことを見つけてチャレンジしてください。ここにいるみなさんは全員、当時の僕よりも頭がいい。ということは、みなさんが頑張ったら、将来はどうなると思いますか? 自分の未来を、自分で切り開いていきませんか?」。

西岡コーチの体験談を聞いた生徒たちの瞳は、強く輝きはじめました。

勉強をすることで、世界が広がる

その後、授業は具体的な問題を題材にして進められました。テーマはここまで語られてきた『勉強は楽しい』ことと、『勉強は役に立つ』ということです。

たとえば次のような問題が出されました。
日本国内の4地点の時刻表を見て、どのような場所のものかを答える問題。選択肢は成田空港の上海行きの航空便、東京郊外の住宅団地のバス停、地方都市の駅前のバス停、山間部のバス停の4つから選びます。この問題は、出発時刻の特徴を把握すれば、理由とともに答えることができます。

生徒たちは、次々にチャットで自分の考えを答えていきます。西岡コーチは回答した生徒からその理由を聞き、次のように語りました。「みなさん、すばらしいですね。特に、自分の言葉で回答の理由を答えていることがすばらしい。実はこの問題、実際に東大入試の地理で出題されたものです。たとえば航空便の時刻表はどれか、考えてみましょう。この問題が出された当時は、早朝や深夜の騒音問題への対応で成田空港の離発着時間は制限されていました。だから早朝・深夜のないものが航空便のものになります」。

「東大をはじめとした国立大学では、知識を前提とした思考力が問われます。2020入試でも、思考力を問う問題が増えます。つまり思考力が大切で、単なる暗記力だけでは対応できないということです。『なぜ、そうなるのか』の理由がわかると、気持ちよくないですか?」。

「他にも、勉強をすることでこのような問題を解くことができるようになります。

・かぼちゃがオーストラリアから輸入されているのはなぜ?
・朝焼けは雨で夕焼けは晴れると言われるのはなぜ?
・ブラックジャックで勝つための確率は?

勉強とは実は、身の回りのことを知るため、そして活かすためにやるのです。そして学べば学ぶほど世の中を理解することができ、世界が広がります。そして社会に出てからも、大いに役に立ちます。つまり、勉強をすればするほど世の中がわかり、楽しくなるのです」。

こうして初回の授業が終わりました。さまざまな事例や体験をもとにした話を聞き、生徒たちは勉強の大切さを理解したようです。授業後のアンケートでも、
・勉強する理由を理解できた
・勉強に対するモチベーションがあがった
という声が多く、おおいにやる気が出たようです。

勉強の意義や大切さを理解した生徒たちが、今後成長していく姿を見るのが楽しみです。

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