リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol02
2020.7.11
『なぜ』を問うと勉強が楽しくなり、成績も良くなるという事実

第2回のリアルドラゴン桜授業が、7月11日におこなわれました。今回もオンラインでの授業です。前回は自宅から参加した生徒たちですが、今回は学校の教室からの参加となりました。ようやく登校することができて、嬉しさを隠せない様子の生徒たち。前方の電子黒板と、各自のタブレットを使った授業の様子をお届けします。

すべての出来事には
原因がある

本日の講師は、東大文学部の布施川(ふせがわ)天馬コーチです。挨拶が終わると、布施川コーチはこう語りはじめました。

「リアルドラゴン桜授業では、はじめの数回で、『勉強の意義』や『勉強との向き合い方』などに触れます。今日のテーマは『なぜを問う』です。一見、勉強とは無関係のように思えます。しかし、すべての科目の勉強をする上できわめて重要な考え方です」。

布施川コーチは続けます。

「『因果関係』という言葉を知っていますよね? すべての出来事、つまり結果には、原因があります。その原因や理由、背景について、とことん考えようというのが『なぜを問う』なのです」。

「ところが、原因を考えるというのは、実は難しいことでもあります。たとえば、自分のスマホを落として画面が割れたとします。画面が割れたという結果は、目に見えるので明確です。しかし、原因はわかりにくい。手が濡れていたのか、持ち方が悪かったのか、あるいは複合した原因による可能性もあります。でも、その原因が何なのかを考えることが重要なのです。原因がわかれば、対策も考えられますよね?」。

「原因を考える練習をしてみましょう。日本人の平均体重は、明治以降に重くなりました。力士の体重も、江戸時代と比べて明治以降は重くなりました。なぜでしょう? 実は江戸時代以前には肉食が禁止されていることが多く、一般的ではありませんでした。主に野菜を食べていたそうです。ところが明治維新以降の西洋文化の流入で、肉を食べることや砂糖を使った料理が広まりました。こうした食文化の変化で、体が大きくなったのです」。

その後も布施川コーチは、次々と原因を考える問題を出し続けました。生徒たちはチャットで自分の答えを書き込み、正解が出るたびに盛り上がります。

「このように、世の中のすべての出来事には原因があります。先ほどの平均体重の例では、原因を知っても単なるクイズや雑学のように思えるかもしれません。しかしこの考え方が、すべての科目の勉強に役立つことを、後半にお話します」。

原因を考えることで
記憶が定着する

後半の授業が始まるとすぐに、布施川コーチはこう語りはじめました。「前半の授業では、すべての出来事には原因があることと、その原因を考える練習をしました。後半は、原因を考えることが、勉強に役立つという話をします。もっとわかりやすく言いましょう。原因を考えると、成績が上がるのです」。

「みなさんに実感してもらいたいので、問題を出します。なぜペリーが1853年に日本へ来たのでしょう?その原因を考えてみてください」。生徒たちは、チャットで答えます。

布施川コーチはこう続けました。「これは少し難しいですね。原因が一つではなく、世界の流れからきているからです。ヒントは『なぜイギリスでもフランスでもなくアメリカだったのか?』と、『1853年の前後に、世界では何が起こっていたのか?』です」。

布施川コーチはこう言うと、クリミア戦争(1853-1856年)や、アメリカのフロンティア開拓(1848年)とゴールドラッシュ(1849年)、第一回万国博覧会(1851年)などの出来事について、それらの流れと関連を解説していきました。

「こうした流れで、アメリカからペリーが1853年に来航したのです。ペリー来航は、単なる日本史の出来事ではありません。その当時世界で起きていた事と、それらの流れの結果、日本で起きた出来事なのです。こうして理解すれば、日本史と世界史と、関連した出来事をすべて覚えられます。つまり、丸暗記ではなくなるのです」。

「この、『丸暗記ではなくなる』ということが、今日もっとも大切な部分です。たとえばテストで、丸暗記した場合は忘れたらおしまいです。しかし、このように関連した出来事を原因と一緒に覚えていれば、うっかり忘れた時や知らない問題が出た時に推測できます。だから、成績が上がるのです」。

「こうした問題は、東大の入試でもよく出ます。単なる年号を丸暗記するだけでは解けない問題が出るのです。そもそも、ばらばらに年号を覚えるだけだと大変だし、楽しくないですよね? これは歴史だけでなく、すべての科目に共通する考え方です。たとえば英単語の例で説明します」。

「TERMという単語には、期間・用語・関係・同意という意味があります。一見すると関係がなく、丸暗記だと苦労する単語です。ところがTERMの原義を調べると、『範囲の限定』『限界を定める枠』だとわかります。すると、どうでしょう?時間を限定するから期間、意味を限定するから用語、人との間柄を限定するから関係・・・と、気持ちよく理解できます。このように考えると、関連する単語もどんどん頭に入ってきます。TERMINALは、終着駅。バスターミナルや空港で使われていますが、意味がわかれば頭にすぐ入ってきますよね」。

布施川コーチは、最後にこう語りかけました。「丸暗記は苦痛です。僕も丸暗記は大嫌いです。しかしこのように『なぜ』を考えると、意味がわかり、楽しくなりませんか?しかも丸暗記ではないので忘れにくく、忘れても思い出す可能性が高い。『なぜ』を考えると、成績が上がるという話が実感できましたか? ぜひみなさんも、『なぜ』を問い続けてください。その習慣をつけるために、良い方法があります。日常生活で目についたものや、疑問に思ったことの『なぜ』を考えてみるのです。とても良い訓練になると思いますよ」。

こうして第2回の授業が終わりました。疑問を持つことの大切さを、生徒たちは強く感じたようです。授業後のアンケートでも、多くの生徒が『なぜ』を問うようにしていきたいと答えてくれました。

疑問を持つことの大切さを
あらためて実感しました

授業の終了後、生徒に感想を聞きました。リアルドラゴン桜授業に対して、どのような印象を持ったのでしょう?また、今回の授業テーマである『なぜ』を問うことの重要性について、どのように感じたのでしょうか?

S.K.くん

リアルドラゴン桜授業を受けて、どのような感想を持ちましたか?
---本当に自分のためになる授業で、感謝しています。何のために勉強をするのかという問いに対し、これまで明確な答えが自分の中にありませんでした。自分の将来のためという漠然としたものだったのですが、初回の授業でその答えが見つかったので感謝しています。

今日の授業はどうでしたか?
---疑問を持つことが大切だという内容でしたが、とても納得できる内容でした。僕の場合、仮に疑問を持っても、調べるのは後回しにしてしまうことがありました。今後は疑問を持ったら、すぐに調べるようにします。

S.K.くん

リアルドラゴン桜授業の感想を聞かせてください
---楽しく充実した授業でした。今日、一番印象に残っているのは、何にでも疑問を持つということです。小さい頃は何にでも疑問を持ち、すぐに親や先生に聞いていました。しかし、最近はそのような事が少なくなっています。疑問を持つ意義も教えていただきましたし、忘れていた感覚を思い出させていただいて、ありがたいと思っています。

オンライン授業についての感想を聞かせてください
---特に問題はありません。まだ登校しはじめて1ヶ月ほどしかたっていません。ようやく同級生との関係にも慣れてきたところです。ですので、チャットだと気兼ねなく質問できるからありがたいです。

今後の授業に対する要望を聞くと、ふたりとも「東大生の経験談を聞きたいです。さまざまな努力や失敗をしてきたと思いますが、その経験談のすべてが自分たちの今後に活かせると思うからです」と答えてくれました。

前向きな生徒たちの、今後の成長が楽しみです。

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