リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人 須賀学園 宇都宮短期大学附属高等学校

Vol 02
2019.6.8
「決めました! 僕は……」
生徒が東大見学で得たものは?

6月初旬のある日の朝。東京・文京区の東大赤門前には相洋高校特進コース2年1組の生徒たちの姿がありました。
待ち合わせまで30分近くあるにもかかわらず、もう、ほとんどの生徒がそろっています。

今日は東龍門の現役東大生たちのアテンドによる東大見学の日。見学後は東大生との座談会でうれしいサプライズも飛び出した、リアルドラゴン桜ならではの課外授業の様子をお伝えします。

「なんだか、夢みたい」「行けてよかった」

この日、東大見学に参加したのは20名の生徒たち。4月の初回講演会に続き、5月には西岡コーチによる第1回リアルドラゴン桜授業も実施。勉強へのモチベーションがますます高まるなか、東龍門メンバーの現役東大生の案内で本郷キャンパスを見学しました。

見学後は東大生との座談会にのぞむため、近隣の会場に移動。その道すがら生徒は興奮冷めやらぬ様子で、うれしそうに話しています。

「すごく広かったね! 緑が多くて池もあって、自然が豊かでびっくりした」
「学食きれいだったね~」
「図書館すごいよね。国内で2番目に蔵書が多いなんて、さすが東大!」
「歴史を感じるレンガ造りの建物とか、かっこよかったな~」
「テレビで見てた場所だから、なんだか夢みたい」
「行けてよかった」

東大生は西岡コーチのほか、この日初めて会う法学部4年生の正司貫統さん、教育学部3年生の増子彩夏さん。「みんなの名前を覚えたいから、教えて! どう呼ばれてるの?」。最初はちょっと恥ずかしそうにしていた生徒も、2人の明るく気さくなキャラクターのおかげですぐに打ち解けていきます。

座談会に参加した東龍門メンバー。左から山本さん、正司さん、西岡コーチ、増子さん

和やかにおしゃべりしながら会場に到着すると、生徒は5人ずつ4グループに分かれました。会場には理科3類1年生の山本赳久さんも駆けつけ、計4名の東大生が座談会に参加。1グループに1人が入って自由に話し、15分ごとに入れ替わって全生徒が全東大生とコミュニケーションできる形式です。

「せっかくなので何でも質問してくださいね!」。西岡コーチが口火を切り、いよいよ座談会のスタートです!

西岡コーチ「目標を明確に」
増子さん「逃げ道を選ばない」

座談会が始まると生徒は東大生に次々と質問を投げかけ、会場はあっという間に熱気に包まれていきます。

学校でのリアルドラゴン桜授業と同様に、歯切れよく質問に答えるのは西岡コーチ。「勉強に集中できないのは、どこかに『何で勉強しなきゃいけないの?』という気持ちがあるから。行きたい大学、勉強したいこと、やりたい仕事といった目標を明確にして、今勉強する意味に納得することが大事なんだ」

出身高校が進学校ではなかった増子さんは模試で東大E判定でしたが、高2の夏にある東大生と出会い、「なりたい自分になる資格は誰にでもある」と励まされ奮起したエピソードを披露。「人生は選択の連続で、選択の掛け算みたいなもの。逃げ道を選んで小さい数ばかり掛けていると、人生も小さくなるよね。みんなは今からがんばれば何にだってなれる。本気で、ガチになって生きてみて欲しい」と、エールを送ります。

山本さん「受験を極めたいと思った」
正司さん「もっと学校の先生を頼ろう」

山本さんは「受験勉強を極める」と決意し、浪人しても日本で一番難しい東大理科3類に挑戦し続け、見事合格。受験を極めようと思った理由は「若いうちに何か1つの道を極めたら、その経験をその後の人生で活かせると思ったから」なのだそう。

生徒が苦手科目の克服法を質問すると、「得意分野に置き換えて考えるといい。僕は理系なのに現国が好きで数学は苦手だった。でも数式は人間がつくった人間味あふれるものだと気づいたら、とたんに苦手意識がなくなった」と回答。諦めずに合格を勝ち取った山本さんの実体験を、みんな身を乗り出して聞いています。

正司さんは受験生時代の成績表とノートを持参。「見たい! 見たい!」。生徒は食い入るようにノートを見ながら、書き方などを質問していきます。「これは先生に添削してもらうノート。僕は先生にお願いしてたくさん添削してもらった。みんなも、学校の先生をどんどん頼ったほうがいい」と正司さん。

数学が苦手という生徒には「苦手科目は初歩的な部分が理解できていないだけだったりする。高1の4月の内容に戻ってイチからやり直すのが、遠まわりなようで実は近道だよ」とアドバイス。

同じ苦手科目に関する質問でも山本さんと正司さんでは答えが違うように、勉強法も東大を目指したきっかけも、4人それぞれに異なります。生徒は今の自分に必要な「何か」を見つけようと、真剣に耳を傾けていました。

勉強法、勇気、覚悟……
何かを確実に手に入れた生徒たち

トークタイムが終わると、西岡コーチからのリクエストで4グループから1人ずつ、代表の生徒が感想を発表することになりました。

1人目の女子生徒は「東大は天才というイメージがあるけれど、最初から勉強ができた人ばかりではなく、『天才とはなれるものなんだ』と勇気づけられました」と発表。

2人目の女子生徒は「志望大学をみんなの前でいって行けなかったらどうしようとの思いがあったのですが、口に出すことがすごく大事だと知りました」と、何かがふっきれたようです。

3人目の男子生徒は「時間を決めるのではなく、『今日はこれをやる』と、何をするか決めて勉強したという話を聞き、真似しようと思いました」と、具体的なヒントを得た様子。ほかの生徒もメモを取りながら、仲間の「得たもの」を吸収していきます。

そして、うれしいサプライズで座談会のフィナーレを飾ったのが、4人目の男子生徒です。

「高校時代は成績が悪かった人もいると聞き、遠い存在だった東大生を身近に感じられ、自分もがんばろうと思いました」と発表したあと、少し間を置いて「……1つだけいいですか?」と、何やら意味ありげに切り出しました。

「おっ。何だ何だ!?」。周囲がざわつくなか、その生徒は「目標を決めました!」と、みんなの前で自分の志望大学名をきっぱりといったのです。その瞬間、会場は大きな歓声に包まれ大盛り上がり。全員が笑顔で拍手を送ったのでした。

高い目標を掲げて全力を尽くすと決め、それを周囲に公言する勇気と覚悟をもったとき、生徒はこれまでに感じたことのない清々しさや誇らしさを味わっているに違いありません。この日、大切なものをつかんだ生徒を乗せた“相洋丸”は、受験の荒波を恐れることなく、切磋琢磨しながら航海を続けます。