リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人 須賀学園 宇都宮短期大学附属高等学校

Vol 04
2019.7.9
生徒の個性を大切にする「一人ひとりの相洋スタイル」

7月のある日、西岡コーチは、第3回リアルドラゴン桜授業開始の1時間前に相洋高校を訪れていました。目的は、杉﨑朗校長先生との対談です。

リアルドラゴン桜プロジェクトがスタートして約3カ月、杉﨑校長先生はどんな思いで、変化していく生徒たちを見守っているのでしょうか。そして、西岡コーチが相洋高校に感じている手応えとは?

今回は、笑顔で語り合いながらも2人でほろりと涙する場面もあった、和やかな対談の様子を中心にお伝えします。

「こうしたい」と、自分で気づく力を育てたい

西岡コーチ:僕、今日の対談をすごく楽しみにしていたんです。というのも、相洋高校のリアルドラゴン桜プロジェクトがスタートして3カ月ほど経ちますが、「主体性のある生徒さんが多いな」という印象をもっていて……。勉強やスポーツでいい成績を収める生徒さんが多いこの学校の指導には、何か特別な秘訣があるのかな? と思うんです。今日はそのあたりのお話を伺いたいと思い、この場に臨みました。

杉﨑校長:ありがとうございます。そうですね、勉強をがんばる生徒もスポーツをがんばる生徒も、「どこで自分が気づくか」が大切なのだと思います。誰かにやらされるのではなく、「こうしたい」と思う気持ちが自分のなかから湧き起こる。いい結果を出している生徒はみんな、どこかでそういうタイミングがあったのでしょうね。

西岡コーチ:「これをやりたいな」と、自分で思うことが大事なんですね。

杉﨑校長:そうです。だから、先生方には「気づかせる」教育をしていただきたいとお話しています。先生という仕事は知識があるだけでは成り立たなくて、「生徒に伝える」、さらには「生徒に気づかせる」ことができなくちゃいけない。

でも一方で、「気づくタイミング」は高校時代じゃなくてもいい、とも思っています。相洋高校には「一人ひとりの相洋スタイル」という言葉があるのですが、その言葉どおり、生徒は感性も考え方もみんな違うでしょう? たまたま同じ学び舎にいますけど、ペースだって違う。ですから、高校時代に「自分がやりたい何か」に気づけなかったとしても、大学生や社会人、場合によっては親になってから気づく生徒がいてもいい。それが、その生徒のスタイルだと思うんです。

西岡コーチ:なるほど! では、高校時代に気づくならそれはそれでうれしいけれど、卒業した後でもいいから「気づくタイミング」を得られるように、今は種をまいているようなイメージでしょうか?

杉﨑校長:そうですね。

西岡コーチ:僕は、これからの時代は一人ひとりがどういうことをしたいかが重要視されていくんじゃないかと思っています。だからそういう考え方の学校には、すごく魅力を感じますね。

仲間を思いやる。そんな生徒が育つことが自慢です

西岡コーチ:生徒さんを見ていて、「いい気づきをしているな」と思ったエピソードはありますか?

杉﨑校長:最近、野球部に印象的な生徒がいました。当校の野球部は毎年県大会の上位で健闘しているのですが、甲子園を目指す公式戦のベンチには20人しか入れない。ベンチに入れない生徒は半分以上にのぼり、そのなかには3年生もいます。

そこで当校の野球部の監督たちは、ベンチに入れない生徒のために、夏の大会の前に他校との試合を組んでいるんです。公式戦と同じように、人工芝のグラウンドでブラスバンドとチアの応援もいるなか、ユニフォームを着て戦う。そこで初めてバッターボックスに立つ生徒もいます。

西岡コーチ:そのシーンを想像するだけで感動です……。

杉﨑校長:それで、野球をやりたくて野球部に入ったけれど、限界を感じて自らグラウンドマネジャーに就いていた3年生の生徒がいたのですが、その生徒も試合に出られるようにと、監督が「スパイクをはいてきなさい」と促したんですね。そうしたらその生徒は、「いや、僕はいいです。一緒にやってきた仲間が初めて試合に出るのだから、少しでも長い時間、試合に出してやってください」といったんです。

西岡コーチ:えええ……? 泣ける……(涙)

杉﨑校長:「自分が、自分が」という風潮が強いこの時代に、そんなことをいえる生徒が育っていることが相洋高校の自慢です……だめだ、涙出てきちゃった(笑)

(杉﨑校長先生、西岡コーチ、しばし2人で涙)

西岡コーチ:その生徒さんは、卒業して社会に出てからも自分のなかに軸をもち、役割を見つけてしっかりと生きていくでしょうね。

杉﨑校長:そう思います。私は、学校は面白くありたいし、カッコよくありたいと思っていますが、カッコよさは1つじゃない。華やかさにも泥臭さにも、それぞれのカッコよさがある。そんな風に「一人ひとりの相洋スタイル」を体現してくれたらうれしいですね。

このプロジェクトは、学校全体を変えていく

生徒への想いを語る2人の話が尽きないなか、杉﨑校長先生に西岡コーチの印象を尋ねてみました。すると、「ちょっと、くやしいんですよね」と苦笑いが……。

「西岡コーチが授業でよくいう『受験は個人戦ではなく、仲間と励まし合って切磋琢磨するチーム戦』『主体性が大事』というメッセージは、実は、以前から私も生徒に伝えていました。なのに、西岡コーチが伝えると私のときと反応が違う。断然、生徒の目が輝いているんです。くやしいですよね(笑)」

杉﨑校長先生は続けます。「でも、リアルドラゴン桜プロジェクトに取り組む特進コース2年1組の様子を見た1年生が、『来年は自分がやりたい』と前向きになっている。そうやって生徒同士が刺激し合うと学校全体に新しい力が生まれ、高め合っていけます。このプロジェクトにはそんな効果もあると感じますね」

西岡コーチにこれからの相洋高校について質問されると、「全ての生徒が自分なりの目標を見つけ、自由に達成できる場所でありたいです。そして大人になったとき、『いい3年間だった』と思い出してもらえたら一番いい。そのために、今我々ができる最大限のことをやっていきたいと思います」と、笑顔で答えてくださいました。

笑いあり、涙ありの対談のあとは、第3回リアルドラゴン桜授業のスタートです。この日の授業内容は、英語の具体的な勉強法。生徒は実践問題に真剣に取り組み、明日から何をすべきかをしっかり掴んだようでした。そして、西岡コーチは授業の最後に「スタディサプリの中学総復習講座の確認テストを全て受け、満点を取る」という宿題も出し、今後に役立つ基礎力の確実な修得を後押しします。

相洋丸で航海を続ける生徒たちが、ゴールにたどり着くための実践に挑むここからの時間は、決して楽ではないでしょう。でも相洋丸には、西岡コーチ、そして杉﨑校長先生をはじめとする先生たちの温かく的確な指導と、励まし合う仲間という武器があります。それさえあれば、どんなことも力強く乗り越えていけるに違いありません。