リアルドラゴン桜プロジェクト

東亜学園高校

Vol03
2020.7.10
みずから考え、みずから行動できる力を身につけてほしい

本年度からリアルドラゴン桜プロジェクトに参加している、東亜学園高等学校。難関大学を目指す、特進コースの1年生30名がリアルドラゴン桜授業を受けています。東亜学園高校は、なぜこのプロジェクトに参加したのでしょうか。矢野校長先生に、その背景とプロジェクトに対する期待を聞きました。

生徒が集中して勉強できる環境を作りたかった

---東亜学園高校が、リアルドラゴン桜プロジェクトに参加することになった背景を教えて下さい。

矢野校長先生:きっかけは今年の春に東大を受験した、ある生徒の頑張りでした。その生徒は進学校の受験に失敗していました。そして失意の中、本校に入学したのです。最初は元気がなかったのですが、1年生の夏休みから猛勉強をはじめました。

---その生徒の変化は、なぜ起きたのでしょう?

矢野校長先生:本人が、このままでは終われないと思ったのです。その生徒は東大文1に入り、官僚になって国民のために働くという夢を持っていました。残念ながら、あとわずかのところで東大に合格することは出来ませんでした。しかし、生徒がみずから「この大学に合格したい」と思うことの重要性を学ぶことができたのです。また、環境の大切さも再認識することが出来ました。私も環境ではつらい経験をしましたから。

---校長先生はどのような経験をしたのでしょうか?

矢野校長先生:私も進学校に通っていたのですが、2年下の後輩が現役で東大の理3に合格しました。その生徒は、1年生の時から東大に行くと決めていたのです。そして保護者も、本人が勉強に集中できる環境を整えていました。一方で私は、なかなか集中しづらい環境の中で勉強をしていました。私と彼は、そこが大きく違ったのです。その時私は、『自分が同じような環境で勉強をしていたとしら、結果は違ったかもしれない』と思いました。

そして今、私と同じような思いを、本校の生徒には味わってほしくないと思っています。自分にはなかった、集中して勉強できる環境を作ってあげたい。そのため、私が理事長になってからは環境を整えることに注力しました。自習スペースの充実や、ICT環境の整備も実現しています。すべての教室には電子黒板を導入し、生徒一人一台のタブレット配付や全教室へのWi-Fi整備も済んでいます。

---校長先生の経験が、東亜学園高校の充実した設備につながっているということですね。

矢野校長先生:それだけではありませんが、大きな理由の一つだと言えるでしょう。しかし、どれだけ設備を充実させても、それを活用するのは生徒です。あたりまえですが、環境さえあればいいという話ではないのです。冒頭の生徒の話に戻りますが、迷いがあったりスタートが遅くなったりすると、受験勉強では結果に響きます。生徒が迷いなく全力でスタートするためには何ができるかを考えていた時、ちょうど良いタイミングでこのプロジェクトを知りました。ドラゴン桜の漫画では、最初に東大を目指すことを決意する場面があります。まさに私たちが目指していた内容と一致していたのです。このような経緯で、リアルドラゴン桜プロジェクトに参加することとなりました。

可能性は無限にあり、あきらめないことが大切だ

---先日、リアルドラゴン桜の授業を受けている生徒にインタビューをしました。その際、ある生徒が「東亜学園に入学してよかった。高校受験で第一志望校への合格が叶わず、東亜学園に入学した。入学前は落ち込んでいたが、リアルドラゴン桜授業でためになる話を聞き、もう一度がんばろうという気持ちになっている」と語ってくれたのです。リアルドラゴン桜授業を通じて、生徒には何を学んでほしいですか?

矢野校長先生:良い話ですね。徳川家康の勝率は6~7割です。すべての戦に勝ったわけではありません。しかし、重要な戦では負けていません。戦いというものを知っているのです。受験も同じではないでしょうか。一度負けたからといって、負けを認めてしまったら、本当の負けになってしまう。決してあきらめないことが大切だと思います。受験には次の機会があります。ぜひ、そこでもう一度戦ってほしいと思います。

---西岡コーチの経歴(注:偏差値35から猛勉強し、二浪の末に東大合格)と似ていますね。

矢野校長先生:まさにその通りです。自分の限界を自分で決めてはいけません。可能性は無限にあるのですから。西岡コーチのあきらめない姿勢は、素晴らしいと思います。生徒たちにはぜひ、あきらめない事の大切さを学んでほしいと思います。

---生徒から、「西岡コーチの話は面白く、東大生の印象が変わった」という声をよく聞きます。東大生から学んでほしいことはありますか?

矢野校長先生:確かに西岡コーチの話はバランスが良く、生徒との距離感も絶妙だと思います。上から目線で『教えてやる』という雰囲気はまったくなく、一歩引いていますよね。そのため、生徒に圧力をかけず、主体的に動くことができる雰囲気をうまく作っていると感じました。やはり東大生は、生徒にとって身近な存在ではありません。貴重な機会なので、彼らの経験談から何かを得てくれると嬉しいですね。そして東大生は特別な存在ではないと思ってもらうことが大切だと思います。

生徒も、学校も、先生も変わる必要がある

---リアルドラゴン桜プロジェクトの活動を通じて、またはきっかけとして、どのような変化が起きることを期待していますか?

矢野校長先生:生徒に対しては、これまでお話してきたとおりです。あきらめない気持ちを持つようになってほしい。そして、100%やりきってほしいと思います。不完全燃焼だと、この先の人生がつらくなるからです。3年後に、自分は精一杯の力でやりきったと感じられるようになってくれれば嬉しく思います。

---生徒以外の変化に期待することはありますか?

矢野校長先生:生徒が変わるためには、学校も変わらなくてはなりません。学校が変わるためには、先生も変わる必要があります。だから生徒のために、先生にも変わってほしいと思っています。私も変わっていきます。私が先頭を走るので、先生も一緒に走ってほしいのです。今春からの社会環境の変化や、入試環境の変化も起きています。私たちもどんどん新しいことにチャレンジする必要があるのです。これまでの延長線で「これはダメ」とかではなく、「面白そうだね、やってみよう!」という会話が増えれば、学校は変わることができると思っています。

東亜学園高等学校 工学博士 矢野 隆 校長先生

矢野校長先生は工学博士号を、27年かけて取得しました。仕事をしながら論文を書き続け、正月も論文を書いていたそうです。「決してあきらめず、一歩でもいいから止まらないで前に進み続ければ、きっと努力が実るということを生徒にはわかってほしい」と語っていました。「何かをやろうと思った時には、自ら考え、自ら行動することが大切だ」と繰り返し強調する校長先生の言葉は、実際の経験から得られたものだと感じました。

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