リアルドラゴン桜プロジェクト

東亜学園高校

Vol07
2021.1.23
【先生インタビュー】 最大の成果は、リアルドラゴン桜授業を日常の学習に繋げられたこと

1月23日におこなわれたリアルドラゴン桜授業。この日のテーマは“説明”です。前回の授業で、生徒たちは“問題”について学びました。“問題”を作ることで出題者の意図を意識することができるようになり、結果として深い知識が得られるという内容です。そして“問題” を作る時や回答する時にとても重要な、“説明”について学びました。今回はその続きです。スムーズに“説明”ができるようになるため、徹底的にワークをすることになりました。

また今期、生徒と伴走してきた先生にインタビューをおこないました。リアルドラゴン桜プロジェクトは、東亜学園の先生にとって、どのように感じられたのでしょう? 授業の様子とあわせてご紹介します。

“説明”の重要性を知っている東大生

西岡コーチは、授業の冒頭でこう語りはじめました。

「東大生の多くは、高校時代から成績が良かった人たちです。ですから友人から質問される事が多く、教える機会も多かったそうです。僕がこの話を最初に聞いた時、ライバルにわからないところを教えて何が良いのだろうと思いました。ところが東大生は皆、『説明していると頭の中が整理され、説明がうまくいかない部分は理解が浅いとわかる。だから説明することは自分のためにもなる』と言うのです。この話を聞いて、僕は説明の重要性を確信しました」。

西岡コーチは説明の重要性を伝えると、この日の授業で徹底的に説明に慣れることを宣言しました。そして「実は簡単な問題でも、説明できないかもしれません。簡単な問題を出すので、答えてください」と語りました。

問題は
You must be hungry.を説明しなさい
です。

「mustを“~しなければならない”と覚えていると、“おなかが空かなければならない?あれ?”となるはずです。多くのみなさんが、正解の“お腹が空いているに違いない”と答えてくれました。しかし迷った人は、“~しなければならない”とだけ覚えていたのではないでしょうか? mustには“そうなることが決まっている”というニュアンスがあります。一本道が目の前に続いているイメージです。中学で覚える単語でも、深く理解していないと答えられない問題もあるのです。このように、自分はわかっていると思っていても、理解できていないことはたくさんあります。説明できなければ、真に理解できたとは言えないのです」。

西岡コーチは簡単な単語の例を出し、これからの勉強でやるべきことは、“明確に説明できる状態”にすることだと語りました。

この話を聞いた生徒たちは納得した様子で、ワークにとりかかります。

“三日坊主”を説明してください

生徒たちが取り組んだ、ワークの一例をご紹介しましょう。
『スタンスとは、どういう意味でしょうか?似たようなステータスという言葉はどういう意味でしょうか?』

生徒たちが答えを書き終えると、西岡コーチはこう解説しました。「これは少し難しかったと思います。回答して欲しかったのは、対象の立ち位置や思考、立場をあらわしているという内容です。“立つ”という言葉が入っていることに注目してください」。

西岡コーチの解説によると、staには“立つ”というニュアンスが含まれているそうです。これを理解していれば、スタンス・ステータス・スタンダードなどの言葉の意味やニュアンスも説明できるといいます。さらに、staを含む多くの言葉も理解できるということです。

「Sustainは持続する、Stableは安定した (立つ=安定している)、Establish は設立する・・・ですよね。バラバラに丸暗記をしなくても、staという文字の意味を理解していれば、まとめて覚えることが出来ますし、忘れません。説明も明確にできます」。

その後もワークは続き、最後の問題が出されました。
『三日坊主の意味を簡潔に英語で説明せよ』という、実際に東大の入試で出された問題です。

生徒たちが答え終わると、お互いにどれが一番良いか、投票がおこなわれました。西岡コーチも一番良い説明を選び、こう解説します。「これは、答えを知っていなくても、意味を理解していれば説明することができる問題です。僕が一番良いと思った説明は、
・早く(すぐに)やめてしまう
・簡単にやめてしまう
というニュアンスを含んでいました。その点がすばらしいですね」。

最後に西岡コーチは、こう語りました。「アメリカのある作家が言った、『悩みを列挙できたら、半分は解決できたようなものだ』という名言があります。みなさんは自分の悩みを説明できますか? 自分の弱点を説明することは、とても重要なことです。勉強でも、自分はここの部分ができていないと説明できると、それを意識した行動が取れます」。

西岡コーチは“説明”の重要性を、繰り返し伝えました。生徒たちも、これからの勉強で“説明”を意識していくことでしょう。

先生の想い:佐々木先生

授業の終了後、リアルドラゴン桜プロジェクトに深く関わってきた先生に感想を聞きました。このプロジェクトは、先生にとってどのように受け止められたのでしょう?

---リアルドラゴン桜授業に対する感想を聞かせてください
佐々木先生:東大生から直接、経験を交えたさまざまな話を聞くことが出来たという点で、貴重な機会だったと思います。

---先生にとって参考になった点はありましたか?
佐々木先生:教師から単に「勉強をしなさい」と言われても、生徒のモチベーションは上がりません。しかし、生徒と年齢が近いコーチの話は、納得感や伝わり方が違ったと思います。うまくやる気を引き出す方法は、とても参考になりました。

---もっとも生徒に影響があったと感じる授業は、何でしたか?
佐々木先生:“問題を作ろう”の授業が、特に良い影響がありました。授業が定期試験の直前だったので、後日、主要科目の問題を生徒に作ってもらいました。生徒たちはお互いに自分が作った問題を見せあい、良い問題を褒めて盛り上がっていました。成績が良い生徒の問題は良問が多く、私たち教師も驚いたほどです。生徒も楽しんでやっていて評判もよく、今後に活かすことができると感じています。

先生の想い:道廣先生

---リアルドラゴン桜プロジェクトに対する感想を聞かせてください
道廣先生:このプロジェクトには多くの人が関わり、生徒はさまざまな話を聞くことができました。多様な意見を聞くことは、生徒の成長に欠かせない貴重な機会だったと感じています。また、生徒が定期的に東大生と話すことができたのも、貴重な機会でした。縁遠い存在だった東大生に親近感を持ち、リアリティーを持てたことも良かったと感じています。

---もっとも生徒に影響があったと感じる授業は、何でしょう?
道廣先生:“問題を作ろう”です。リアルドラゴン桜授業の終了後に、定期試験を想定した問題を生徒に作らせたのですが、実際に出そうと思っていた問題に似たものを作った生徒がいて驚きました。また、“要約”の授業も良い影響がありました。授業終了後に要約コンテストを実施し、匿名で投票をしたのです。選ばれた生徒は自信がついたと思いますし、要約を意識して読むようになったと思います。

---先生にとって、参考になった点はありますでしょうか?
道廣先生:いまお話したように、リアルドラゴン桜授業で教わった内容を、日々の授業と繋げる事ができたのが収穫でした。リアルドラゴン桜授業をその場限りのものにせず、日々の授業に繋げることで、より大きな効果になると思いました。私の担当教科でも、「西岡コーチはこう言っていたよね」と話し、繋げるように意識をしています。

別の機会に、一番印象的だった授業を生徒に聞いたところ、“問題を作ろう”と答えた生徒が多数いました。決して偶然ではなく、先生たちが日常の授業に繋げようとした努力の結果ではないでしょうか。「リアルドラゴン桜授業という点と、日常の授業という点を繋げ、ひとつの線にすることで、より大きな効果を生み出したい」という道廣先生の言葉が印象的でした。

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