リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人 須賀学園 宇都宮短期大学附属高等学校

Vol 04
2019.7.2
学校・社会で求められているのは
学びに向かう「主体性」

生徒たちが期末テストを終えたばかりの7月2日。株式会社リクルートマネジメントソリューションズの立野正行さんを講師に迎え、先生を対象とした『主体性研修』が行われました。この研修の目的は、リクルートが人材育成をするうえで大切にしている「主体性」を育む姿勢と、そのノウハウの共有です。社会人・生徒に今求められている「主体性」とは何なのか? 企業で培われたノウハウを学校教育でどう生かせるのか? 注目の研修がいよいよ幕を開けます。

「君はどうしたいの?」
この問いに答えられる人材を!

先生方が一堂に介して行われた、今回の『主体性育成ガイダンス』。大きな拍手で迎えられた講師がまず語ったのは、自身がリクルートに入社した当時のエピソードでした。上司から幾度となく「君はどうしたいの?」という質問を受けたという講師。この問いにしっかり応えられる人こそが主体性のある人間であり、「自分はどう考えるのか」、「何をすべきだと感じているのか」を問い続けることが、『主体性教育』の基本なのだと講師はいいます。
文科省の提唱で高校教育改革、大学入学者選抜改革に舵が切られたいま、生徒の『主体性をもって学びに向かう力』こそが大切になってきていると話す講師。
ここで先生方に、こんな質問が投げかけられました。

「つい自分基準で考えてしまう、失敗を恐れて受け身になってしまう。うまくいかないとマイナスにとらえて落ち込んでしまう。やる意味を感じないと、うまくやる気が出せない。そんな生徒がいないか、周りの先生と少し話し合ってみてください」。

さっそく普段接している生徒たちのようすを思い浮かべつつ、話し合いを始める先生方。「確かに失敗や否定を恐れる生徒は少なくない気がする」、「周囲に遠慮してしまって、本来の力を出し切れていない生徒もいるよね」。など、活発な意見が聞かれました。生徒ひとりひとりの性格や行動を細かく観察しているからこそ出る意見の数々から、先生方の熱意が伝わってきます。

講師曰く、これらの特徴は、最近の社会人にも多く当てはまる項目なのだそう。企業の新人も生徒と同様に、主体性を持って行動して人を巻き込むことが苦手という傾向があるのだといいます。このような社会人・生徒の主体性を育んでいくために、どんなことが必要なのか。ここからは主体性育成に関するリクルートの取り組みについて、話が進んでいきました。

生徒の主体性教育には
周囲の関与が欠かせない

次に講師が口にしたのは、リクルートが人材を育成するうえで大切にしているという「WILL-CAN-MUST」というキーワードです。「WILL-CAN-MUST」とは、仕事を通して実現したいこと(WILL)を明らかにし、そのために何ができるか(CAN)を上司と確認したうえで、何をすべきか(MUST)を考えるというサイクルのこと。
リクルートでは、従業員ひとりひとりの主体性を育てるために、半年ごとに上司とこのサイクルを繰り返し行っているのだといいます。この繰り返しが主体性を育むのだと話す講師。そのうえで必要なのが、上司や周囲の関与なのだそう。

「これは企業だけでなく、教育現場にもそのまま当てはまります。生徒の主体性を育てるには、先生が積極的に関わっていくことがとても重要なのです」と講師。リクルートが行っている主体性等に関するアンケートの結果も交えつつ
「まず何をいつまでにやるかを生徒と一緒に決めたうえで、何ができるようになったかを振り返る。そして楽しかったこと、楽しくなかったことを踏まえたうえで、次に何をやるかを決めていく。これを繰り返し続けることが大切なのです」と話します。

この言葉に真摯に耳を傾け、メモを取る先生たち。どうすれば、教育の現場にこの「WILL-CAN-MUST」をうまく取り入れていくことができるのか、生徒の主体性を伸ばしていけるのか。先生方ひとりひとりが、その方法について考えを巡らせているようでした。

主体性育成を教育現場に
どう組み込むかが課題

 ここで立野講師から、教師として教育現場に立っていた経験を持つ酒井講師へとバトンタッチ。まずはこれまでの研修の内容を、周囲の先生と振り返る時間が設けられました。
先生たちからは「具体的に学校でどう活かすかが難しいかな」「ひとりひとりの生徒に個別に対応していかないといけない。普段の業務のなかでどうそれを盛り込んでいくかが大切だよね」などといった声が上がります。

そのあと講師から語られたのは、生徒に対してどのように主体性を育んでいけばよいかの各論でした。「WILL-CAN-MUST」を基本としながらも、大切なのは目標設定だと話す講師。「文化祭や合唱祭などでも目標設定をして、最後にまとめて振り返りをするのではなく、月に1回など定期的に振り返りを行うこと。そして、目標を達成できたときはしっかりと褒めてあげることが大切です」と話します。

そして行われたのは、2019年度2学期の目標を立てるというワーク。考える時間が与えられた後、先生同士でその目標をシェアし合う時間が設けられました。
ここで講師が伝えたのは「目標には成果目標、状態目標、行動目標の3種類がある」ということでした。「高校球児は優勝という成果目標に向けて辛い行動目標を立てていると思うのですが、優勝してみんなで喜び合う状況目標を支えに頑張っています。3つの目標がしっかりあることが、目標達成を目指すうえで大切なのです」と語る講師。
成果目標だけでなく、それを達成するために何をするのか、そしてクリアしたときにどんなワクワクした気持ちになるのか。これらをセットにして生徒に目標を立てさせることが、何より重要なのだと説きます。

そして最後は、主体性を育むためのオリジナル研修プログラムやスタディサプリの活用方法などの紹介があり、90分の研修はあっという間に終了しました。
研修後、先生に感想を聞いてみると「校務と並行して、具体的にどう盛り込んでいくのかは試行錯誤ですが、今日聞いた内容は、今後の生徒の指導に生かせるのではないかと思います」との声や、「学校に当てはめた場合の具体策について、もう少しお話を伺いたかったですね」という声も聞かれました。

主体性育成のノウハウを日々の指導にどう組み込んでいくのかという課題はあるものの、それでも積極的に取り入れていきたいという意気込みが伝わってきた今回の研修。先生方の今後の取り組みに、期待が膨らみます。