リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人 須賀学園 宇都宮短期大学附属高等学校

Vol 05
2019.7.8
どんな未来をつくり、誰を幸せにしたいか
それが「課題」の発見につながる!

7月8日、宇都宮短期大学附属高校のホールに、110名の生徒が集まりました。回を重ねるごとに、徐々に熱が高まっているようすの生徒たち。その表情もやる気に満ちています。この日行われたのは、さまざまな課題に対して新たな視点を持つきっかけを与えるための『探究授業』。そもそも「課題」とは何なのか、そして、課題を発見する力とはどういうものなのか。生徒たちも興味津々の授業が、いよいよスタートします。

「課題」とは、理想の姿を実現し
人に幸せをもたらすもの

真剣なまなざしで、講師の登場を待つ110名の生徒たち。会場となったホールは、しんと静まり返っています。そこに登場したのは、今回の講師であるリクルートの赤土豪一(しゃくど・ごういち)さん。サラリーマンでありながら、メジャーな漫才コンクールの予選にも挑戦したことがあるというユニークな経歴の持ち主です。

そんな講師がまず生徒たちに投げかけたのは「課題って、そもそもなんだと思いますか?」
という問いかけでした。

この問いを考えるためのお題として出されたのが、昼休みに混雑しすぎるため、入店を諦めて帰ってしまうお客さんがいることに困っている食堂の事例。「どうしたらみんな気持ちよくランチを食べてもらえるだろう?」。そんなお悩みを抱える店主の課題に対して、解決方法を考えるという問題です。

さっそく、周囲の生徒と相談を始める生徒たち。「食券を導入すれば、オーダーがすぐに伝わるのでその分時間が短縮できると思います」「食堂の席を増やすのはどうでしょう」など、
さまざまな意見が交わされます。

ちなみに、これらの答えはすべて正解の可能性があるもの。課題に対しての解決方法には、厳密に言うと、正解・不正解はないのだと講師はいいます。
講師曰く、課題とは「理想とする姿の実現に向け、解決しなければならないこと」なのだそう。「理想の姿」を実現することによって、「うれしさを感じる人」がいる。だからこそ、課題を見つけて解決する中で、自分の仮説を正解にしていくことにこそ意味があるのだという講師。

新しい課題のとらえ方に、驚きの表情を見せる生徒たち。どんどん話に引き込まれていくようすが見てとれます。

自分以外の視点で見る
「観察メガネ」とは!?

続いて授業は、課題を見つけるための視点の持ち方、ものごとのとらえ方へと続きます。
「みなさんが使っている駅も、子連れのお母さんの視点で見ると、見え方が変わります。お年寄りや、外国の人など、いろいろな人の視点で物事を見ると、それだけいろいろな課題が見つかるのです」と講師。課題を見つけるためには、さまざまな立場の人の視点でものごとを観察する「観察メガネ」が必要なのだと説明します。

この「観察メガネ」を使うトレーニングとして、室内に砂場を設けたある地域の子ども館を例に出し、そこがどんな課題をもとに作られたものなのか、生徒たちに問いかける講師。生徒たちはさっそく、その地域の子どもたちの視点という「観察メガネ」を活用し、「熱中症が心配で外で遊べない子どもが多かったから」、「不審者などを気にせず遊べる環境がなかったから」など、積極的に意見を出していきます。

生徒たちの意見に対し、「それらはすべて正解の可能性がありますね!」と話す講師。「さらに親のメガネで見ると、また違った課題が見えてくるかもしれません」というアドバイスも付け加えます。

勉強や日々の体験で
多くの「観察メガネ」が手に入る!

続いて講師が紹介したのは、独自の課題を発見し、それを社会のために生かしている人たちの事例でした。

同窓会で医者の友達から「カッコいい白衣がない」という話を聞き、医療関係者の気分を上げるようなデザイン性の高い白衣を開発した、クラシコ社長・大和新氏、自身の排泄の失敗体験から、医療の現場で活かせる排泄予知デバイスを開発したトリプル・ダブリュー・ジャパン代表取締役・中西敦士氏などを例に挙げ、「画期的な事業を手掛けている人も、最初の始まりは小さな課題の発見でした」と話す講師。常にさまざまな観察メガネをかけて、課題を見つけ出すことの大切さを生徒たちに説いていきます。

まっすぐな目で、輝かしい功績を残した起業家たちの事例を見つめる生徒たち。
「もしかしたら、自分たちもいつかこの人たちのように活躍できるかもしれない」と、未来に夢を膨らませているようでした。

「20世紀は成長時代でしたが、21世紀は成熟時代です。物やサービスがあふれている今だからこそ、一層さまざまな人の役に立てるよう、そこに課題を発見する力が大切になるのです」と話を続ける講師。
そして、最後に伝えたのは、「日々の勉強や経験こそが、観察メガネの種類を増やしてくれる」ということでした。

「いろいろなジャンルを学べば学ぶほど、そして、いろいろな体験をすればするほど、いろいろなメガネができる。だから、日々の勉強が大切なのです」と話す講師。最後は「あなたは誰の便利・幸せのために、どんな未来をつくりたいか、それを少しでも考えてもらえたら嬉しいです」という言葉で授業を締めくくりました。

授業終了後はいつもと同じように、生徒にアンケートを実施。今回は「今日の授業を受けて、『なぜ勉強をするのか』という問いに改めて答えてください」。というユニークな質問が用意されていました。

このアンケートの結果で印象的だったのは、この問いに対して「観察メガネを増やすために必要だから」、「社会に出てぶつかる課題の解決のために必要だから」と答える生徒が多かったこと。受験のためにやるものだった勉強が、未来の社会の役に立つための勉強へ。生徒たちの意識は少し、しかし確実に変化を遂げたようです。