リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人 須賀学園 宇都宮短期大学附属高等学校

Vol 08
2019.8.20
自主的に勉強することを学んだ
2日間の「夏休み特訓」

夏休みも終盤に差しかかった8月20日・21日。普通科1年の生徒35名がキャンパスに集合し、2日間の夏休み特訓が行われました。西岡コーチが「大学のゼミ」に例えるこの夏休み特訓は、生徒たちの主体性を重んじたプログラムとなっているのが大きな特徴です。自習時間も多く、自分たちの時間をどう使うのか、どう生かすのかが問われた2日間。新たなスタイルの授業に、生徒たちはどんなことを学んだのでしょうか。今回は、初日の授業のようすをご紹介します。

勉強をするもしないも自分次第
「この2日間は大学のゼミです!」

夏真っ盛りの8月20日・21日。この2日間は夏休み特訓ということで、宇都宮短期大学附属高校のキャンパスに普通科1年の35人の生徒が集まりました。冒頭、真剣な表情の生徒たちに向かって、西岡コーチはこう話します。
「みなさんは、大学のゼミって聞いたことはありますか? ゼミは何かを教わる場ではなく、自主性をもって学ぶ場です。今日、明日の夏休み特訓は、ゼミだと思ってください」。

西岡コーチの言葉に、やや緊張の面持ちの生徒たち。さらに西岡コーチは、勉強をするうえで大切なのは自主性であり、勉強をするもしないも自分で判断することが大切なのだと続けます。これまでの授業で、勉強とは「Take」するもの。自分で取りに行くものだということを学んできた生徒たちだけに、この西岡コーチの言葉の重さが理解できるのかもしれません。その目はいつにも増して、真剣みを帯びているように見えました。

ちなみに夏休み特訓中は、雑談もOK。生徒たちには全員にiPadが配られており、これを使って自由に調べ物をしても良いというルールです。
「まだ夏休みの宿題が終わっていない人もいると思いますので、そちらが最優先だと思う人は、宿題をやっても構いません」という西岡コーチ。大人としての判断を生徒たちに委ねる形で、特訓はスタートしました。

世の中のデジタル化に伴い
勉強もデジタル化している!

「みなさんの中に、iPhoneを持っている人はいますか?」と問いかける西岡コーチ。これに対して、何人かの生徒たちが手を挙げます。
「みんなにも身近なiPhoneやiPadといったデバイスが普及しているのに伴い、勉強もどんどんデジタル化しています」と西岡コーチ。スタディサプリやInstagramなどを使って塾もない沖縄の学校から東大に合格した生徒の話なども紹介し、これからの勉強において、利便性の高いITツールを使いこなすことがいかに大切かを伝えます。

「目の前にあるタブレットをどう使うかは自分次第。ゲームをやってもいいし、勉強してもいい。それをどう活用するかを自己責任で考え、判断する自主性が大切なのです」という西岡コーチの言葉に、真剣に聞き入る生徒たち。まだ高校1年生の彼らですが、ひとりの大人としてこれまでとは違う姿勢が求められていることを、しっかりと感じ取っているようでした。

そして今回の授業では、さっそくこのITツールを使ってみることに。取り入れられたのは、講義中に匿名で随時質問ができる無料アプリ「Sli.do(スライドゥ)」です。西岡コーチの指示に従い、iPadを操作する生徒たち。まずはこのアプリの使い勝手について、感想をアプリに打ち込んでいきます。生徒たちがアプリの使い方に慣れてきたところで、次はドラゴン桜の漫画のコピーを読み、その感想を「Sli.do」に書き込んでくださいという指示が。生徒たちは遊び感覚で、どんどんツールの使い方を習得していきます。

感想を共有したところで、アプリのトライアルはいったん終了。次は、<慎重派と実践派、みんなはどっち派?>という問いが生徒たちに投げかけられました。
「周りの人と、自分はどっち派かを話してみてください」という西岡コーチ。生徒たちはさっそく周囲の生徒たちと、相談を始めます。「自分はわりと慎重派なんだよね」「あ、わかるわかる!」と積極的に意見を交わし合う生徒たち。授業も回を重ねるにつれ、このようなコミュニケーションにもかなり慣れてきたようです。

「慎重派か、実践派かはどちらがいいというわけではありませんが、まずは自分がどちらのタイプかを見きわめたうえで、自分に合った勉強の方法やスケジュールの立て方を見つけることが必要なのです」と話す西岡コーチ。そして授業は、1日の勉強時間や勉強方法のレクチャーへと進んでいきます。

睡眠時間を削っても
成績は上がらない!

「どのくらいの時間を勉強に割けばよいのか」。このテーマは、どの生徒も気になっているよう。会場はしんと静まり返り、西岡コーチの答えを待っています。しかし、西岡コーチの口からから出たのは「勉強時間というのは本質的な問題ではありません」。という、意外な言葉でした。
「勉強の結果というのは、勉強量×内容の方程式です。なので、どんなに勉強量が多くても、質が伴わなくては成績も上がりません」と話す西岡コーチ。勉強に時間だけ割いても、質が伴っていなくては意味がないのだといいます。

質の良い勉強をするためには、やはり十分な睡眠をとることが大切なのだそう。あまり睡眠時間を取っていないと話す生徒たちに、「1日6時間から7時間は寝てください」と西岡コーチ。睡眠時間を削っても結果は出ないことを、自身の経験を振り返って伝えます。十分な睡眠を取ったうえで、勉強時間は通常で2~5時間程度、夏休みで5~7時間が目安になると話す西岡コーチ。この目安時間と自分の勉強時間を照らし合わせ、多いと感じる生徒も少ないと感じる生徒もいるようで、感想を言い合う姿が見られました。

勉強時間の目安がわかったところで、次は効率的な勉強方法についての講義に入ります。「勉強を効率的にするためには、計画を立てて、実行し、結果から改善点を洗い出し、もう一度実行するPDCAサイクルを回すことが大切なのです」と話す西岡コーチ。問題を解いて不正解だったときは、1知識不足、2演習不足、3時間不足による取りこぼしの3つが原因として考えられるため、まず不正解の理由が3つのどれに当てはまるのかを把握したうえで、対策を考えることが大切なのだといいます。このことを体感するために、実際に問題を解いたうえで、間違えた理由を考え、シートに書き込むという実習も行われました。

最後は、西岡コーチと、サポートで参加した増子コーチへの質問コーナーで幕を閉じた夏休み特訓初日。「勉強をするもしないも、自分で考えて判断することが大切」という西岡コーチの言葉は、いままで受け身で授業を受けてきた生徒たちの心に、一石を投じたようでした。生徒たちの意識改革のきっかけともなった今回の授業。明日以降の生徒たちの勉強にどのように影響するのか、今後に期待が高まります。

増子彩夏コーチ:東京大学教育学部3年教育心理学専攻。原田メソッド認定パートナー。
東大は当時の自分含め、誰もが無理だと思う目標だったが、高いモチベーションを維持する独自の方法をみつけて母校初の東大合格を果たす。この経験から、多くの人が自分の本当の可能性に気づかず人生を過ごしていることがもったいないと感じ、心理学、脳科学、コーチング、コミュニケーション、目標達成の方法、北欧の教育メソッドなど、人の可能性を引き出す術を学んだ。オランダ・デンマーク・フィンランドに留学した経験も。