6,000人が参加した一日体験学習
8月1日・2日・3日の3日間、宇都宮短期大学附属高校では、毎年恒例の「一日体験学習」が行われました。中学生とその保護者が模擬授業などを体験し、学校を知るために催されるこちらのイベント。コロナ禍のなかとあって教室ごとの分散開催となりましたが、ウェブ開催もあわせると総勢5,500人が参加して大盛況に終了しました。今回は最終日の様子を、萩原俊和教頭先生のインタビューとあわせてお届けします。
検温、マスク、三密防止
対策を徹底したうえでの開催
取材に訪れたのは、8月3日。通常であれば、大勢の中学生とその保護者でにぎわう一日体験学習ですが、今年はコロナ禍のなかでの開催ということで、様子が一変していました。午後の部の開始時間の少し前には、参加者全員が各学科の模擬授業を行う教室に案内されており、構内はとても静かです。
各校がこのようなイベントを見送るなか、感染対策を徹底することで、あえて一日体験学習の開催を決意したという宇都宮短期大学附属高校。そこにはどんな想いがあったのか、萩原教頭先生にお話を伺いました。
-今回はコロナ禍のなかでの開催ということで、ご苦労も多かったのではないでしょうか?
萩原教頭先生:そうですね。他校ではこのような催しを中止にしてしまっているところも多いので、開催して良いものか、かなり迷いました。
それでもあえて開催を決意したのは、中学三年生の高校選びのチャンスを奪ってはならないと考えたからです。
結果的にはウェブ上で行った一日体験学習もあわせて、5,500名の方にご参加いただきました。昨日も来場した保護者から、「一日体験学習をやっていただけてありがたい」というお声をいただき、悩みながらも開催して本当に良かったと思っています。
-今年はコロナ対策を徹底されたとのことですが、具体的にはどのような取り組みをされたのでしょうか?
萩原教頭先生:まずマスク着用を必須とし、入口のサーマルカメラで検温、アルコール消毒(全員に除菌ウェットティッシュを配布)にご協力いただきました。さらに三密を防ぐために来場者の出欠確認や上履きの履き替えをやめる、模擬授業の教室ごとの定員を定め、机と机の間隔をあける、手渡ししていた水を最初から机に置いておくなどの対策を取っています。
また、これまでは大ホールでウエルカムコンサートや各学科の学習発表・部活動紹介などを行っていたのですが、今回はこれらの内容を映像化し、模擬授業を行う教室で見ていただくようにしました。
昨年は普通科、情報商業科、調理科など複数の科の模擬授業を体験していただくことができたのですが、今年は生徒の移動を最小限にするため、1つの科だけをあらかじめインターネット上で選んで体験いただくスタイルに変更しています。
萩原俊和教頭先生
初のトライアルとして
ウェブ一日体験学習を実施
-ウェブ一日体験学習は初めての試みだと思いますが、多くの方が参加されたそうですね
萩原教頭先生:はい。ウェブ一日体験学習は事前登録制にしたのですが、当日、1,000人ほどの参加者が集まりました。(ウェブ一日体験学習)
参加者にはパンフレットや必要な材料などを送付して、自宅で動画を見ながら授業を体験していただけるようにしたんです。たとえば情報商業科ですと、エコバックのデザインを。調理科ですと、アーモンドのお菓子づくりを。普通科では、国語や数学のワークシートを送付しておいて、これを元に授業を体験できるようにしました。
こちらはいつでも見られるようになっていたため、参加する方も日程の調整がしやすかったのではないかと思います。
-昨年はボランティアとして多くの生徒が活躍していましたが、今年はどうだったのでしょうか?
萩原教頭先生:400名の生徒が後輩たちを温かいお迎えをして、密にならないように、細心の注意を払いました。
今年は資料に宇都宮短期大学附属高校を知ってもらうための宇短附検定ブックレットを入れたのですが、これは生徒たちが考えてつくったものなんです。グラウンドの数やタブレットの数、自販機の数などが問題になっており、面白い発想だなと感心しました。子どもたちには柔軟な発想力がありますから、私たちも勉強になります。
部活動紹介コーナー
大ホールでの音楽科の演奏
普通科の模擬授業の様子
情報商業科の模擬授業の様子
昨年の40名定員を25名に絞って模擬授業を開催
生活教養科の模擬授業の様子
-最後に、一日体験学習に参加した中学生へのメッセージをお願いします。
萩原教頭先生:コロナのこともあって、今年の高校選びは例年よりもかなり後れを取ってしまっている現状があります。
中学三年生にとって厳しい状況ですが、今回参加してくれた方にはぜひこの一日体験学習を、学校選びに生かしてもらえたら嬉しいです。
「中学生に学校選びの機会を与えたい」。そんな想いで開催された、宇都宮短期大学附属高校の一日体験学習。開催までにはさまざまなハードルがありましたが、大盛況のうちに幕を閉じました。
制限のあるなかで工夫を凝らしてつくりあげたイベントの成功は、ボランティアで参加した生徒たちにも、きっと大きな自信と感動を与えたことでしょう。
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