リアルドラゴン桜プロジェクト

日本大学櫻丘高等学校

Vol04
2020.10.7
生徒も教師も、大きく変化することができた半年でした

10月上旬に、日本大学櫻丘高等学校の教務部主任 澤田先生と、リアルドラゴン桜プロジェクトの西岡コーチによる対談がおこなわれました。今年度は新型コロナ禍による混乱の中でスタートし、先生による様々な工夫や努力で困難を乗り越えてきたそうです。この半年間、生徒や先生はどのような状況だったのでしょうか?リアルドラゴン桜プロジェクト担当の特進コース主任、今野先生への取材とともにその様子をお伝えします。

ICTが救った教育機会

西岡コーチ:新型コロナウイルスの影響は、やはり大きかったですか?

澤田先生:誰も経験したことがない状況でしたので、当初は混乱しました。しかし幸いなことに、本校では従来からICT教育に力を入れていました。そのため、学校内に電子黒板をはじめとした設備が備えられていた事に助けられたと思っています。

西岡コーチ:各教室に、電子黒板やプロジェクターが揃っていますよね。昨年度のリアルドラゴン桜授業でも、活用させていただきました。

澤田先生:こうした設備のおかげで、4月6日に予定されていた入学式も実施することができました。感染対策で新入生だけの参加となりましたが、とにかく制服を着せてあげたかったのです。十分な感染対策を行った上で生徒には各教室へ集まってもらい、放送で入学式を実施することができました。

西岡コーチ:生徒は嬉しかったでしょうね。授業もスムーズに始めることができたのですか?

澤田先生:いえ、試行錯誤を繰り返しながら進めていったという印象です。4月は課題を配信し、5月の上旬からオンライン授業をはじめました。たとえば先生は当初、通常授業と同じ時間で映像を作っていました。生徒はオンライン映像を通常授業と同じ時間、視聴し続けることになります。これはやってみるとわかりますが、集中し続けることがとても辛いのです。先生も、編集時間を加えると授業時間の倍の時間がかかりました。これでは問題があるということですぐにアンケートを取り、改善しました。たとえば30分の授業映像の間に、計算や考える時間を入れるようにしたのです。

西岡コーチ:短期間でPDCAが回っているところが素晴らしいですね。映像の撮影は、先生が自分でやったのですか?

澤田先生:はい、やり方も含めてお任せしました。学校の黒板や電子黒板を使うほかに自宅で手元を写すなど、教科ごとの特性によって先生が工夫してくれました。

西岡コーチ:ライブ授業はおこなわなかったのですか?
澤田先生:本校ではライブ授業を実施した時の問題点も考え、映像の配信授業にしました。配信授業のメリットは、あとで繰り返し見ることができる点です。理解しにくかった部分をもう一度見ることが出来ると、生徒からも好評でした。

西岡コーチ:運用はどうしていたのでしょうか?他の学校の事例で、ICTに詳しい先生が個人で頑張って乗り切ったという話をよく耳にします。

澤田先生:ICT運営委員会という組織で対応しました。事前の環境整備やつながらないなどのトラブルは、この組織ですべて対応しました。問題が起きた時は、この組織のアドレスにメールで連絡するようにしたのです。常に情報も公開してくれたので、スムーズにいったと思います。しかし当然ながら、この組織の先生は大変だったと思います。核となる先生が、本当に頑張ってくれました。

西岡コーチ:オンライン授業をしたことで、次に繋がる知見や得られたものはありますか?

澤田先生:先生が変わることを求められたと認識しています。たとえば、先生の自宅から授業ができるという発想は、昨年まではありませんでした。しかし、やってみると出来た。そうすると、どこからでも授業をすることが出来るという発想になります。また、ICTを活用することで、生徒の状況把握などが短時間で出来ることもわかりました。コロナ禍でICTの利用が進んだことは間違いありません。生徒も頑張って順応してくれました。関係する人が全員、頑張って変化に対応することが出来た点が、自信になったと思います。

生徒に主体性が生まれた
リアルドラゴン桜授業

西岡コーチ:御校は昨年もリアルドラゴン桜授業に参加しました。昨年参加した生徒に、何か変化はありましたか?

澤田先生:ありました。特に大きな変化があったのは1年生です。それまでは、教えてもらったことを真面目にやって終わりでした。それが、みずから質問をしてくるようになったのです。たとえばある公式を学んだとします。その公式を使って問題が解けるところまでは同じなのですが、その後で応用問題について聞きに来るのです。『なぜを問う』が、浸透した結果だと思います。

西岡コーチ:それは嬉しい話ですね。昨年度は1年生から3年生までの生徒が授業を受けましたが、今年度は1年生に限っています。その理由を教えて下さい。

澤田先生:昨年度の経験から判断しました。たとえば勉強との向き合い方や、なぜ勉強をするとよいのかといった話をするのは、早ければ早い方が良いと思います。先ほどの1年生の例のように、残りの高校生活が長いほど、その効果が現れやすいと思うからです。

西岡コーチ:なるほど。1年生の特別進学(S)クラスは、ことしから1学年2クラスに増えました。その背景も教えていただけますか?

澤田先生:入試制度を変えたことが影響していると思います。本校の入試では、併願優遇という制度があります。今までは公立高校の併願だけを対象としていたのですが、私立高校の併願も対象とすることにしました。また、入試日程も2日に増やしました。その結果、優秀な生徒が増えたのです。

西岡コーチ:先日実施した東大生との座談会でも、鋭い質問をする生徒がたくさんいました。またリアルドラゴン桜授業でも、勉強に対する姿勢が前のめりで、積極的に質問をしてくる生徒がたくさんいます。学校が変わってきていると、強く感じます。

澤田先生:これからも、さらに変わりますよ。ルーブリック評価制度を、現在作っています。自主創造と桜イノベーションという本校の指針をベースに、学校が育てていきたい生徒像を作っているのです。その中の一つに、ダイバーシティーを大切にするという考えがあります。その考え方を形にして、来年度は帰国生入試をはじめる予定です。

西岡コーチ:楽しみですね。学校が同質の空間ではないのは、とても良い環境だと思います。

澤田先生:ダイバーシティーと言っても色々あります。本校にはネイティブの先生が4名いますが、今後は欧米だけでなく、アジアなどの先生にお越しいただくことも検討しています。従来からの制度で、台湾からの留学生もいます。そこに帰国生が加わり、先生も多様でプログラムも色々ある高校って、楽しそうじゃないですか?

西岡コーチ:本当に楽しそうですね。毎年、あらたな改革を実施し続けていることが凄いなと感じました。

さまざまな世界があることを
生徒に教えてほしい

最後に特進コース主任の今野先生に、話を聞きました。

リアルドラゴン桜授業を受けている1年生が、英字新聞を作っていると聞きました。どのようなものなのでしょう?
---1班4~5人のグループにわかれて、テーマを決めて英字新聞を作っています。本校は英語に力を入れており、ネイティブの先生も4人います。その環境を最大限に活用しようという趣旨です。自分たちが興味を持ったテーマで、自主的に活動しています。たとえばクリティカルシンキングを歴史から調べたり、インタビューをしたりしていますよ。とても楽しんでやっている様子です。

今年度の1年生の印象を教えて下さい。
---とても活力があると思います。リアルドラゴン桜の初回授業でも、リモート授業でしたが積極的にチャットで発言していました。入試方法の変更と、休校中の経験によるのではないかと思っています。生徒たちは、1日1日を大切に過ごしたいと思っているのではないでしょうか。

リアルドラゴン桜授業に対する、期待や要望を聞かせてください。
---生徒に、さまざまな世界があることを教えていただきたいと思っています。そのうえで、自分にはたくさんの可能性があることを気づかせてほしいです。たとえば昨年のリアルドラゴン桜プロジェクトで実施した夏休み特訓は、ほとんどの生徒がとても満足していました。東大生のさまざまな経験を聞くことで、視野が広がったのだと思います。今年度も具体的な勉強方法のほかに、そのような話をしていただきたいと思います。

今野先生は、「生徒には、世の中にはまだ知らない広い世界があり、無限のチャンスがあることを知ってほしい。そしてどんどんチャレンジしてほしい」と何度も繰り返しました。その強い想いは、きっと生徒に伝わることでしょう。

Copyright © Mita Norifusa / Cork